フェイスリフト後の注意事項とは?
フェイスリフト後の注意事項とは、手術で引き上げた皮膚とその下の組織が新しい位置で落ち着くまでの数ヶ月間、腫れ・内出血・傷跡・感覚の変化をできるだけ小さく抑えるために、患者様ご自身に守っていただく生活上のルールです。
フェイスリフトは、たるんだ皮膚を切って引き上げるだけの手術ではありません。皮膚の下にあるSMAS(顔を支えている薄い筋膜の層)まで丁寧に扱うため、手術が終わったあとの数週間は、体にとって「傷を治している最中」の状態が続きます。この時期の過ごし方が、最終的な仕上がりと回復のスピードを大きく左右します。
国際的な形成外科の教科書や、数千件規模の症例をまとめた報告を見ると、フェイスリフトで最も多いトラブルは血腫(けっしゅ/皮膚の下に血がたまること)だとされています。女性でおよそ2〜3%、男性では最大で8%程度と、より高い割合で報告されており、その多くは手術直後、特に最初の48時間に血圧が急に上がったタイミングで起こると考えられています。当院で手術後の姿勢・いきみ・飲酒・喫煙について細かくお願いをしているのは、まさにこの時間帯を静かに乗り切っていただくためです。
以下では、マイン美容外科で実際に患者様へお渡ししているフェイスリフト後の注意事項を、項目ごとに理由まで添えてご案内します。回復の全体像や期間の目安については フェイスリフト ダウンタイム3ヶ月完全解説 もあわせてご覧ください。
目次
1.手術後の姿勢
- 1) 手術後2週間までは、横向きに寝たりうつ伏せになったりせず、顔を天井に向けて仰向けで寝るようにしてください。
- 2) 眠るときは枕やクッションを重ねて、頭が心臓より少し高くなるようにしましょう。上半身を軽く起こした姿勢のほうが、顔にたまった余分な水分が戻りやすくなります。
- 3) 手術当日から数日間は、頭を下げる姿勢(床の物を拾う、靴ひもを結ぶ、髪を下に垂らして洗うなど)をお控えください。物を取るときは、腰ではなく膝を曲げてしゃがむと安心です。
- 4) 重い荷物を持ち上げる、強くいきむ、大声を出すといった動作も、しばらくはお控えください。いずれも一瞬で血圧が上がり、止まっていた出血が再び起こる引き金になります。
姿勢の指示が細かいのは、見た目のためではなく安全のためです。海外の教科書でも、手術後48時間は血圧の急な上昇を抑えることが、血腫を防ぐうえで欠かせないとされています。眠りにくい、枕が合わないなど不安な点があれば、我慢せず当院にご相談ください。
2.手術後の食事
- 1) 通常のすべての食事が可能ですが、刺激的な食べ物はお控えください。
- 2) 最初の数日は、やわらかく飲み込みやすいお食事から始めましょう。噛む力を強く使うと、耳まわりの切開部位に引っ張られる感覚が出やすくなります。
- 3) 塩分の多い食事は、むくみが長引く原因になります。麺類のスープを残す、加工食品を控えるなど、少し意識するだけでも違います。
- 4) 水分はふだんどおりしっかりお摂りください。水分を控えても腫れは引きません。むしろ体の巡りが落ちて回復が遅れることがあります。
- 5) たんぱく質(肉・魚・卵・豆腐など)は傷の修復に使われる材料です。食欲が落ちているときも、少量ずつ回数を分けてお摂りいただくとよいでしょう。
3.腫れケア
- 1) 手術後2~3日間はだんだん腫れやあざがひどくなり、その後2~4週間にわたって徐々に治まり、個人差があります。
- 2) 残りの腫れは2~3ヶ月かけて引きます。
- 3) 手術日を含めて、手術後3日まで冷湿布をして、その後は温湿布をしてください。
(用意した湿布パックを利用して湿布してください。)
(温湿布には睡眠温熱アイマスクを使うか、お渡しした湿布パックを電子レンジで15秒ほど温めてお使いください。) - 4) 顔の感覚が鈍くなっているため、温湿布時にやけど・火傷をしないよう十分に注意してください。
- 5) 冷湿布は「冷やしすぎない」ことが大切です。保冷剤を直接肌に当てず、必ずタオルなどで包み、1回15〜20分を目安に休憩をはさみながらお使いください。
冷やす時期と温める時期を分けるのには理由があります。手術直後は毛細血管から血液や体液がしみ出しており、冷やすことで血管が締まり、にじみ出る量が減ります。逆に3日目以降はすでにたまってしまった内出血やむくみを流す段階に入るため、温めて血の巡りを助けたほうが早く引いていきます。
なお、目に見える腫れが落ち着いたあとも、組織の奥ではしばらく変化が続きます。海外の教科書では、フェイスリフト後のむくみが完全に落ち着くまでにおよそ6ヶ月をみておくとされています。「1ヶ月経ったのに、まだ腫れが残っている気がする」と感じても、多くは経過の途中ですので、あわてずに見守っていただければと思います。
4.傷跡ケア
- 1) 抜糸は7~10日目にします。(患者様の肌タイプによって異なる場合があります)
- 2) 圧迫バンドは1週間、24時間着用してください。食事や歯磨きの際は一時的に外しても構いません。
その後は、家にいる時や寝る時に継続して着用することをお勧めします。(1日最低8時間以上、1ヶ月間着用)
(バンドを過度に締め付けると、局所の血流が減少し、圧迫壊死が発生する恐れがあります。常に不快感のない程度の一定の圧迫を維持するのが最も安全です。) - 3) 切開部位に軟膏を一日の朝、夜の2回塗ってください。(抜糸前まで)
- 4) ドレーンを付けた場合は別途ケアが必要となりますので、YouTube動画をご参照ください。
- 5) 抜糸が済んだあとは、医師の指示に沿ってテープや傷跡用のジェルをお使いいただけます。自己判断で市販品を重ねる前に、一度ご相談ください。
- 6) 傷跡は紫外線に当たると色が濃く残りやすくなります。外出時は日焼け止めや帽子で、耳まわりと生え際を守りましょう。
傷跡は、抜糸した時点が完成ではありません。最初の1〜2ヶ月は赤みや硬さが目立ちやすく、そこから半年〜1年かけて少しずつ白く平らに落ち着いていきます。大規模な症例報告でも、耳たぶやこめかみの生え際の傷跡を整える小さな追加処置が必要になった方は数%程度とされ、しかもその判断は「1年しっかり待ってから」行うのが原則とされています。焦って触ったり刺激を加えたりしないことが、結果的に一番きれいに治る近道です。
5. 切開部位について
- 1) 手術時の切開部位に使用された青色や黒色の糸(バイクリル、PDSなど)は、術後約1ヶ月頃から皮膚の表面近くに透けて見えたり、少し突出したりすることがあります。これは一時的な現象で、該当する糸は約3ヶ月以内に体内に自然吸収されるため、ご安心ください。糸が皮膚の上に露出した場合、手で触れたり引っ張ったりすると感染、炎症、傷跡の悪化などのリスクがあるため、絶対に触れずに必ず病院へご連絡ください。
- 2) 切開部位の周りにかさぶたができても、無理にはがさないでください。自然に取れるのを待つほうが、色素沈着が残りにくくなります。
- 3) メイクは抜糸後、切開部位を避けたところから少しずつ再開しましょう。傷の上に直接メイクをするのは、医師の許可が出てからにしてください。
フェイスリフトで感染が起こる頻度は、複数の大規模な調査で1%未満とされています。それでも、切開部位が急に赤く腫れる、押すと強く痛む、黄色い分泌物が出る、熱が続くといった変化があれば、様子を見ずにご連絡ください。早い段階で対応できれば、傷跡への影響も小さく抑えやすくなります。
6.洗顔及びシャワー
- 1) 洗顔は術後の翌日から可能で、シャンプーは抜糸後から可能です。
(洗顔時、耳側の切開部位に水が入らないようにウェットティッシュで顔を拭いてください) - 2) (抜糸後)シャンプー後、切開部位は冷たい風で乾かしてください。
- 3) 髪を洗う時、耳側の切開部位を強くこすらないでください。
- 4) サウナ、銭湯、お風呂は感染の恐れがあるため、術後1ヶ月間禁止します。
- 5) 体を洗うシャワーは翌日から可能ですが、湯温はぬるめにして、短時間で切り上げましょう。熱いお湯を長く浴びると血管が広がり、腫れが強く出ることがあります。
- 6) 顔を洗うときは、こすらずに泡でやさしく包むように洗いましょう。タオルも、押さえて水気を取るだけで十分です。
7.運動
- 1) 日常生活は3~4日後から可能で、軽く歩く運動は術後1~2週後から、無理な運動は1ヶ月後から可能です。
- 2) 再開の順番は「散歩 → 早歩き → 軽い有酸素運動 → 筋力トレーニング」が目安です。息が上がって顔がほてるような強度は、まだ早いサインだと考えてください。
- 3) 逆立ち・前屈・重量挙げのように頭が心臓より低くなる動作や、強くいきむ動作は、1ヶ月ほどお控えください。
- 4) 運動中に切開部位がズキズキする、腫れが強くなるといった変化を感じたら、その日は中止して休みましょう。
運動を急がないほうがよい理由も、やはり血圧です。引き上げた組織と皮膚のあいだでは新しい細い血管が作られている最中で、この時期に血圧が跳ね上がると、内出血が増えたり腫れがぶり返したりします。「動けるかどうか」ではなく「静かに過ごせているかどうか」を基準にしていただくと安心です。
8.薬の服用
- 1) 退院時、処方された薬は手術が終わってから最初の食事後、30分後に服用し、その後も決められた時間に規則正しくお飲みください。
- 2) 薬を飲んだ後、下痢やアレルギーなどの症状が現れた場合は当院までご連絡ください。
術後1週間だけアスピリンやビタミンEは出血の原因となりますので服用しないでください。 - 3) 抗生剤や鎮痛剤は、症状が軽くなったと感じても自己判断で中断せず、処方どおりに飲み切ってください。
- 4) 健康食品やサプリメント(高麗人参、イチョウ葉、フィッシュオイル、ビタミンEなど)の中には、血をサラサラにする働きを持つものがあります。再開の時期は、事前にご確認ください。
- 5) ほかの病院で処方されているお薬がある場合は、必ずカウンセリングの段階でお知らせください。
9.飲酒と喫煙
- 1) 飲酒や喫煙は出血、傷の回復や感染に悪影響を与えるため、手術後1ヶ月間は禁止します。
- 2) 加熱式たばこや電子たばこ、受動喫煙も同じように影響します。ご家族にもご協力いただけると安心です。
たばこに含まれるニコチンには血管を細くする働きがあります。フェイスリフトでは皮膚を薄く剥がして引き上げるため、皮膚のふちでは、巡ってくる血液の量がもともと少なくなっています。そこへ喫煙が重なると血の巡りがさらに落ち、傷の治りが遅れたり、皮膚のふちの色が悪くなったりする原因になります。教科書でも、こうした皮膚のトラブルは多くが自然に治っていくと書かれていますが、そもそも起こさないことが一番です。お酒についても、血管を広げて内出血を目立たせるうえ、痛み止めや抗生剤との相性もよくありません。
10.経過
- 1) 肌が引っ張る感じや、感覚の鈍さは正常な回復過程であり、時間の経過とともに改善されます。
(1ヶ月〜2ヶ月目が一番ひどく感じられます。) - 2) リフトした手術部位が硬く、一時的にデコボコに見えることがあり、時間が経つにつれて好転します。
- 3) ディンプルは一時的に生じる可能性があり、1ヶ月ほど経過してから良くなり始めます。(無理に触ったり、ほぐさないでください。)
- 4) 頭痛がひどい場合はタイレノール(アセトアミノフェン)を追加で服用してください。
- 5) 稀に口元の神経が触れて口角が上がらないこともありますが、2~3ヶ月かけてよくなりますので、あまり心配なさらないでください。
- 6) ヘアカラーやパーマは1ヶ月後から可能です。
- 7) 口を大きく開けたり刺激になるような表情は痛みを誘発することがあり、引っ張られる感じが強くなることがありますので1ヶ月ほど気をつけてください。
- 8) マッサージや圧迫を加える行為は1ヶ月間ご注意ください。
- 9) ウルセラなどの高密度焦点式超音波(HIFU・ハイフ)によるリフト施術は、6ヶ月間はお控えください。
- 10) 耳の前後や頬の感覚は、数ヶ月かけて少しずつ戻っていきます。感覚が戻る途中で、ピリピリ・むずむずした感じが出ることもありますが、多くは回復のサインです。
経過の目安をまとめると、手術後1週間は腫れと内出血のピーク、1ヶ月ほどで人に会える程度に落ち着き、3ヶ月で輪郭のラインが自然になり、6ヶ月〜1年をかけて傷跡と質感が仕上がっていく、という流れになります。顔面の神経に一時的な力の入りにくさが出ることも、まれにあります。3500件規模の手術をまとめた報告では0.1%程度と非常に少なく、しかも報告された症例はいずれも6ヶ月以内に回復したとされています。術式ごとの回復の違いについては フェイスリフト 持続期間はなぜ術式で違う? でも詳しくご説明しています。
すぐに当院へご連絡いただきたい症状
下記のような変化は、経過を見るのではなく、その場でご連絡いただきたいサインです。日本語スタッフが対応いたしますので、遠慮なくお声がけください。
- 片側だけが急に大きく腫れてきた、または張ったような強い痛みが出てきた
- 切開部位が赤く熱を持ち、黄色い分泌物が出る、または発熱が続く
- 圧迫バンドを外しても、しびれや冷たさ、皮膚の色の変化が消えない
- 痛み止めを飲んでも治まらない痛みが続く
- 糸が皮膚の外に出てきた(触らずにご連絡ください)
とくに手術直後の急な片側の腫れは、血腫のサインであることがあります。早く処置するほど回復も早く、仕上がりへの影響も小さくなりますので、「大げさかな」と思われるくらいで結構です。
フェイスリフト後の注意事項に関するよくあるご質問
Q. 仕事にはいつから戻れますか?
デスクワークなど体に負担の少ないお仕事であれば、日常生活が可能になる手術後3〜4日以降が一つの目安です。ただし腫れや内出血の出方には個人差がありますので、人前に出るご予定がある場合は、抜糸のタイミングもふまえて余裕をもったスケジュールをおすすめします。
Q. 飛行機に乗って帰国しても大丈夫ですか?
抜糸を済ませてからのご帰国が安心です。機内は乾燥していてむくみも出やすいため、水分をこまめに摂り、席では上体を少し起こした姿勢でお過ごしください。ご渡航日程が決まっている患者様は、カウンセリングの際にお知らせいただければ、それに合わせてご案内いたします。
Q. 顔がつっぱる感じや硬さは、いつまで続きますか?
手術後1〜2ヶ月目に一番強く感じられる患者様が多く、そこから徐々にやわらいでいきます。組織が新しい位置になじむ過程で起こる自然な変化ですので、ご自身で強く揉んだり伸ばしたりせず、経過を見守ってください。気になる場合は、検診の際にご相談いただければ状態に応じたケアをご案内します。
Q. 注意事項を1日守れなかったら、結果に影響しますか?
一度うつ伏せで寝てしまった、うっかり熱いお風呂に入ってしまったといった場合でも、多くはそれだけで結果が決まってしまうものではありません。大切なのは、そのあと強い腫れや痛みが出ていないかを確認し、気になる変化があれば早めにご連絡いただくことです。ご自身で判断が難しいときは、写真を添えてお問い合わせいただいても構いません。
Q. 手術の種類によって、注意事項は変わりますか?
基本となる考え方(血圧を上げない・傷を清潔に保つ・紫外線を避ける)は共通ですが、剥離する層や範囲によって、腫れの出方や制限の期間は変わります。術式ごとの違いは ディーププレーンフェイスリフトとは? や、首まわりを中心に気になる方向けの 首のたるみを取るには? をご覧ください。
※手術後のケアは手術と同じくらい重要ですので、患者様のご協力をお願いします。
※ご不明な点がございましたら、遠慮なく病院までお問い合わせください。
▶ もっと詳しく:フェイスリフト(切開リフト)手術完全ガイド
手術の適応や合併症に関する一般的な情報は、日本形成外科学会や日本美容外科学会(JSAPS)の公開情報もあわせてご確認いただけます。
※ お問い合わせ(Tel: 02-516-1175)
監修:マイン美容外科 代表院長 李聖郁(形成外科専門医)/最終更新日:2026年8月1日
※ 本コンテンツは情報提供のみを目的としており、医療上の診断や治療に代わるものではありません。施術結果には個人差があり、副作用が生じる可能性があります。詳しくは専門医にご相談ください。