n 垂れ乳 手術 傷跡|切開3種別の位置と1年の変化|マイン

垂れ乳 手術 傷跡はどこに残る?切開3種類の位置・長さとバストリフト後1年の変化

垂れ乳 手術 傷跡の位置:乳輪周囲切開・乳輪周囲+縦切開・逆T字切開の切開線を示したイラスト

垂れ乳 手術 傷跡とは、垂れた胸を引き上げるバストリフト(乳房吊り上げ術)で残る切開線のことで、乳輪の周り・縦線・胸下線のどこを切るかで位置と長さが変わります。

手術を考えるとき、いちばん気になるのはやはり傷跡ではないでしょうか。診察室でバストリフトのご相談を受けていると、「手術はしたいけれど、傷跡がどこにどれくらい残るのか分からない」というお声を最も多くお聞きします。

そこでこの記事では、次の3つに絞ってお話しします。

  • 切開方法ごとに、傷跡がどこに・どのくらいの長さで残るのか
  • 術後1年のあいだに傷跡がどう変わっていくのか
  • 乳輪の周りの傷跡が広がる理由と、それを抑える条件

術式の選び方や術後の回復の流れは別の記事で詳しくまとめていますので、本文中のリンクからご覧ください。垂れ乳の手術全体について知りたい方は、垂れ乳・バストリフトの記事一覧もあわせてどうぞ。

垂れ乳 手術 傷跡が切開方法で変わる理由

バストリフトは、伸びた皮膚を切り取り、乳頭・乳輪を本来の高い位置へ移して胸の形を立て直す手術です。皮膚を切り取った部分は縫い合わせる必要があり、縫った部分は線状の傷跡として残ります。

つまり垂れ乳手術の傷跡の形は、「どこを、どれだけ切るか」で決まります。

垂れの程度が切除する皮膚の量を決める

形成外科の教科書がバストリフトを説明するとき、出発点になるのは「どれだけ垂れているか」です。垂れが軽ければ切り取る皮膚が少なく、乳輪の周りだけで済むこともあります。垂れが強いほど取り除く皮膚が増え、そのぶん切開線も長くなります。

たとえるなら、ゆるくなった服を詰めるとき、少し伸びただけなら1か所つまめば足りますが、大きく伸びていれば何か所もつまむ必要があるのと同じです。出産・授乳や大幅な減量のあとで垂れが強くなった方ほど、傷跡の線が増えやすいのはこのためです。

垂れの程度は、乳頭と胸下線(胸の下のしわ)の位置関係をもとに、軽いものから強いものへ段階(グレード)に分けて考えます。グレードが上がるほど、必要な切開線も増える傾向があります。

垂れ乳 手術 傷跡の大きさを左右する垂れの程度:胸下線を基準に正常・グレード1〜3を示した側面イラスト

3つの切開線は形で覚える(ドーナツ型・ロリポップ型・アンカー型)

  • 乳輪周囲切開(ドーナツ型):乳輪の周りに円が1つだけ残ります。
  • 乳輪周囲+縦切開(ロリポップ型):乳輪の円に、乳輪の下から胸下線の方向へ伸びる縦線が加わります。
  • 逆T字切開法(アンカー型):乳輪の円と縦線に、胸下線に沿った横線まで加わります。

どの切開が自分に合うのか、それぞれの長所・短所は垂れ乳の切開方法別の選び方とメリット・デメリットで詳しくまとめています。この記事では、選んだ切開が体にどのような傷跡を残すのかに絞って解説します。

李聖郁院長のKey Point:傷跡の長さは医師が自由に選ぶものではなく、まず垂れの程度によって決まります。

切開別に見るバストリフトの傷跡の位置と長さ

同じバストリフトでも、傷跡が残る場所は方法によって異なります。下の図は、垂れ乳手術の傷跡を3つの切開別に並べたものです。手術前に傷跡の位置を絵に描いてみると、漠然とした不安がずっと具体的な質問に変わります。

垂れ乳 手術 傷跡の位置を切開別に示した図解(乳輪周囲切開・乳輪周囲+縦切開・逆T字切開法)

乳輪周囲切開:乳輪の境目に沿った円形の傷跡

傷跡は、乳輪(色の濃い部分)と周りの皮膚が接する境目に円形に残ります。色が切り替わる境界線の上にあるため、比較的目立ちにくいのが特徴です。

ただしこの部分は、縫合の張力によって傷跡の幅が広がったり、乳輪が再び大きくなったりしやすい場所でもあります。この点は後半の「乳輪周囲切開の傷跡が広がる理由」で詳しくご説明します。

乳輪周囲+縦切開:乳輪の下へ伸びる縦の傷跡

乳輪の周りの円に加えて、乳輪の下側から胸下線の方向へ向かう縦の傷跡ができます。縦線を加えると胸の下側の皮膚を多く取り除けるため、乳頭の位置を上げやすくなります。

乳房外科の教科書(Spears)では、縦切開のリフトには胸下線の位置を引き上げ、胸の前への張り出し(プロジェクション)を出しやすい仕組みもあると説明されています。胸の土台が低めの方にとっては、形を整えるうえでの利点になることがあります。

形成外科の教科書では、縫い合わせるときに皮膚をギャザーのように寄せ、縦の傷跡を短くまとめる工夫が紹介されています。寄せた細かいしわは、時間とともにほとんどが伸びて目立たなくなります。

逆T字切開法:胸下線の横の傷跡とT字接合部

垂れが強い場合や胸が大きい場合は、縦線だけでは余った皮膚を整理しきれないことがあります。そこで胸下線に沿った横線を加えるのが逆T字切開法です。縦方向と横方向の両方の余った皮膚を取り除けるため、胸の形を立体的に作り直しやすく、皮膚を最も多く切除できる方法とされています。

教科書でも、グレード2〜3の強い垂れの矯正に向く方法と位置づけられています。乳房外科の教科書(Spears)では、乳輪の下縁から胸下線までの距離が7〜8cmを超えると、縦の切開だけでは足りず横方向の切除も必要になるとされています。

一方で、縦切開の適応を広くとらえる考え方もあります。Swanson(2016)は、豊胸を併用したリフト(augmentation mastopexy)の連続252例を、逆T字切開を使わず縦切開のみで行ったと報告しています(Swanson E, Plast Reconstr Surg Glob Open 2016;4:e1170)。ただしこれはシリコンバッグを同時に入れる手術での報告です。余った皮膚が多い場合には横線を加える選択もあり、垂れの程度と皮膚の状態を見て切開方法を決めます。

横線は胸下線に沿って残るため、立った姿勢では胸のふくらみに隠れて目立ちにくいことが多いです。その代わり、縦線と横線が交わる「T字接合部」が最も注意を要する場所になります。

下着や水着で見える範囲は人それぞれ

乳輪の周り、縦線、胸下線の横線は、解剖学的にはほとんどがブラジャーのカップの内側に収まる範囲です。ただし下着や水着のデザイン、体型によって見える範囲は変わるため、「見えない」と言い切ることはできません。

傷跡の長さも、垂れの程度や皮膚のゆとりによって一人ひとり異なります。一つの数字でお約束できるものではない、という点をご理解いただければと思います。

李聖郁院長のKey Point:大切なのは「傷跡は短いほど良い」ではなく、「垂れを十分に直しながら、張力のかかりにくい線」を選ぶことです。

バストリフトの傷跡は術後1年でどう変わる?

垂れ乳手術の傷跡は、手術当日の状態のまま固まるわけではありません。長い時間をかけて少しずつ成熟(落ち着いていくこと)していきます。この流れを前もって知っておくと、術後数か月の傷跡を見て必要以上に心配することが減ります。

垂れ乳 手術 傷跡が術後から1年以降にかけて色と厚みを変えながら成熟する過程の概念図

術後〜数か月:赤く盛り上がり硬い時期

術後数週間から数か月は、傷をふさぐために傷跡の中に細い血管がたくさん作られます。そのため傷跡は赤〜ピンク色を帯び、少し盛り上がって、触ると硬く感じられます。この時期の赤い傷跡は、ほとんどの場合、正常な回復の過程です。

数か月以降:色が薄くなり平らになる時期

時間がたつにつれて傷跡の中の血管が減り、赤みが少しずつ引いていきます。盛り上がっていた部分も徐々に平らで柔らかくなります。瘢痕(傷跡)の教科書でも、成熟していく傷跡は血管の状態が正常な皮膚に近づき、赤みが薄れていくと説明されています。

この時期のケアも大切です。シリコン製品や、初期の赤い傷跡に使う血管レーザーなどの選択肢は、胸の手術の傷跡ケア(シリコン・レーザーなど)で詳しく取り上げています。

1年以降:傷跡を最終的に評価する時期

瘢痕の教科書によると、肥厚性瘢痕(盛り上がって厚くなった傷跡)でも1年以上かけて成熟し、特別な治療をしなくてもかなり平らになることがあります。そのため、傷跡の最終的な状態は通常、術後1年が過ぎてから評価します。

ただし、1年はあくまで「評価の基準となる時点」であって、「完成」を意味するわけではありません。傷跡の色味は、その後もゆっくり変わっていくことがあります。また、成熟した傷跡も正常な皮膚とまったく同じにはならず、毛や汗腺のない細く薄い線として残ります。

傷跡が薄くなる速さは、体質、喫煙の有無、傷にかかる張力、肌の色によって大きな個人差があります。

李聖郁院長のKey Point:術後数か月の傷跡で結果を判断しないでください。傷跡の評価は術後1年以降が基準です。

乳輪周囲切開の傷跡が広がる理由と抑える条件

乳輪周囲切開は傷跡が最も短い方法ですが、術後に「乳輪の周りの傷跡が広がった」「乳輪がまた大きくなった」というお悩みが起こりうる方法でもあります。

大きな円を小さな乳輪に合わせる巾着縫合法の張力

乳輪周囲のリフトでは、乳輪の外側に大きな円を描いてその間の皮膚を取り除き、残った大きな円を小さな乳輪に合わせて縫い合わせます。巾着袋の口をひもで絞るように周りを引き寄せる縫い方で、巾着縫合法と呼ばれます。

2つの円の大きさの差が大きいほど、縫い目にかかる力(張力)も大きくなります。教科書では、この過度な張力こそが乳輪の周りの傷跡を広げ、乳輪を再び大きくする主な原因だと説明されています。傷跡が広がるのは糸が弱いからというより、引っ張る力の問題なのです。

垂れ乳 手術 傷跡が乳輪の周りで広がる原因となる巾着縫合の張力を示した図解イラスト

乳輪周囲切開が向いている範囲

形成外科の教科書は、乳輪周囲のみのリフトを、乳輪が大きい場合と、乳頭の下垂が2cm以内の軽度の場合に限るよう推奨しています。それ以上の垂れまで乳輪の周りだけで解決しようとすると、乳輪の周りが変形しやすく、満足度も下がりやすいとされています。

下垂が2cmを超える場合は、乳輪だけで無理をするより、縦線を加えたほうが乳頭の位置を調整しやすいというのが教科書の考え方です。なお、乳輪の大きさだけを小さくする単独の手術はこの記事とは別のテーマのため、ここでは扱いません。

教科書が紹介する張力を分散させる縫合

医学文献には、乳輪の直径を保つためのさまざまな縫合法が紹介されています。溶けない糸(非吸収糸)で乳輪の周りを一周支える方法や、車輪のスポークのように糸を交差させて固定する縫合(Hammond DC ほか, Plast Reconstr Surg 2007;119:804-809で報告)などがその例です。

これらに共通する原理は、張力を一か所に集めず、周り全体で分散して受け止めることです。どの縫合を使うかは皮膚の状態と垂れの程度を見て決める部分ですので、カウンセリングで直接ご確認ください。

李聖郁院長のKey Point:乳輪の傷跡の広がりは、糸よりも張力の問題です。乳輪の周りだけで無理をしない判断が先です。

縦の傷跡・T字接合部のトラブルと肥厚性瘢痕のリスク要因

傷跡が長くなる切開ほど、トラブルが起こりうる場所も増えます。縦線と横線が加わるほど、注意して見るべきポイントも増えるということです。手術を決める前に、起こりうる問題を正直に知っておくことが大切です。

縦の傷跡の中に残る小さな横じわ

縦線を短くするために寄せて縫った皮膚のしわは、多くが時間とともに伸びていきます。ところが教科書では、横方向にできたしわは自然には伸びず、縦の傷跡の中に小さな横の傷跡を残すことがあるため、手術中に修正すべきだと説明されています。

T字接合部の離開と傷跡の広がり

逆T字切開法で縦線と横線が交わるT字接合部は、両方向から引っ張る力が一点に集まる場所です。そのため、傷が開いたり(離開)、傷跡が広がったりしやすい部分です。

また、横線の端では皮膚がつまみ上がったようなしわ(ドッグイヤー)ができることがあります。教科書ではこれを防ぐための縫合の工夫が解説されており、逆T字切開の傷跡の仕上がりを左右するポイントの一つです。

垂れ乳 手術 傷跡のうち逆T字切開で張力が集まるT字接合部と横線の端のしわを示したイラスト

肥厚性瘢痕・ケロイド・色素沈着になりやすい人

次に当てはまる方は、傷跡が厚くなったり色が濃くなったりする可能性が高くなるため、カウンセリングの際に必ずお伝えください。

  • ケロイドや盛り上がった傷跡ができやすい体質、またはそのご家族歴がある
  • 喫煙している(傷の治りを遅らせます)
  • 糖尿病など、傷の治りに影響する病気がある
  • 術後に大きな体重の変化がある
  • 肌の色が濃く、色素沈着が起こりやすい

傷跡以外にも、腫れや内出血、炎症・出血、乳頭・乳輪の感覚の変化、左右差といった一般的な手術のリスクがあります。すべての手術には一定のリスクが伴います。

李聖郁院長のKey Point:傷跡トラブルの多くは、T字接合部としわの処理で生じます。体質や喫煙のことは隠さず、ぜひお話しください。

カウンセリング前の確認事項と傷跡修正手術のタイミング

私の臨床経験では、傷跡への不満は傷跡そのものより「こんなに残るとは思わなかった」というところから始まることが多いと感じています。形成外科の教科書でも、仕上がりの形が良くても、傷跡が成熟していく過程を事前に十分説明しておかないと失望につながりうると強調されています。

カウンセリングで自分の切開線を描いてもらう

カウンセリングでは、次の項目を確認されることをおすすめします。

  • 自分の垂れの程度なら、どの切開線が必要か
  • 傷跡が具体的にどこに、おおよそどの範囲に残るか
  • ケロイドの家族歴や喫煙など、傷跡に影響する要因があるか
  • 術後1年のあいだに傷跡がどう変わっていくかの説明

痛みや圧迫下着、日常生活への復帰といった回復のスケジュールは、垂れ乳バストリフトの回復の流れで別にまとめています。

傷跡修正手術はいつ検討する?

傷跡が気に入らなくても、急いで再手術することはおすすめしていません。教科書では、傷跡修正手術は傷跡が十分に成熟し、周りの組織に張力なく縫い直せるだけのゆとりができてから判断するとされ、通常は術後1年以降が目安です。「迷ったら急がない」が基本の考え方です。

早い時期に縫い直すと、まだ硬く張りのある組織に再び強い張力がかかり、かえって傷跡が広がるおそれがあります。それまでは傷跡のケアを続けながら、経過を見守るのが一般的です。

李聖郁院長のKey Point:傷跡は、手術前に位置を知り、手術後1年待ってから評価するものです。

垂れ乳 手術 傷跡のよくある質問

垂れ乳の手術の傷跡はどこに残りますか?

基本は乳輪の周りに残り、垂れの程度に応じて縦線、さらに胸下線の横線が加わります。垂れが軽ければ乳輪の周りだけ、中等度なら乳輪の下の縦線まで、強い場合は胸下線の横線まで必要になります。

バストリフトの傷跡はどのくらいで薄くなりますか?

初期は赤く盛り上がっていますが、時間とともに少しずつ薄く平らになっていきます。教科書上、傷跡は1年以上かけて成熟するため、最終的な評価は術後1年が目安です。正常な皮膚とまったく同じにはならず、薄くなる速さには体質や生活習慣による個人差があります。

なぜ乳輪周囲切開の傷跡は広がるのですか?

大きな円を小さな乳輪に合わせて絞るように縫う、その張力が主な原因です。そのため教科書は、乳輪周囲のみのリフトを乳頭の下垂が2cm以内の軽度の場合に限るよう推奨しています。張力を分散させる縫合法も文献で紹介されています。

逆T字切開の傷跡は縦切開より目立ちますか?

横線が加わるぶん、傷跡の総延長は長くなります。ただし横線は胸下線(胸の下のしわ)に沿ってできるため目立ちにくく、注意が必要なのは縦線と横線が交わるT字接合部です。どちらが合うかは垂れの程度によって変わるため、カウンセリングで一緒に確認しましょう。

傷跡が気に入らない場合、いつ修正手術を受けられますか?

傷跡が落ち着き、周りの組織にゆとりができてから、通常は術後1年以降に判断します。それまではケアを続けながら経過を見守るのが一般的です。

まとめ:バストリフトの傷跡は術前に位置を知り、1年かけて評価する

垂れ乳 手術 傷跡は、垂れの程度に応じて乳輪の周り→縦線→胸下線の横線の順に増え、術後1年以上かけて薄く平らになっていきます。乳輪の周りの傷跡が広がるのは主に縫合の張力によるもので、T字接合部の処理や体質・喫煙といった要因も傷跡の経過に影響します。

必要な切開線や傷跡の経過は、垂れの程度・皮膚の厚さ・体質によって一人ひとり異なります。ご自身の場合に傷跡がどこにどう残るのかを詳しく知りたい方は、マイン美容外科の個別カウンセリング(日本語スタッフ対応)でお気軽にご相談ください。

手術方法や診療の流れは、マイン美容外科の垂れ乳修正(バストリフト)のご案内でご確認いただけます。

執筆・監修:李聖郁 代表院長(形成外科専門医)
江陵峨山病院 形成外科 科長などを経て、マイン美容外科 代表院長。

※ 本コンテンツは情報提供のみを目的としており、医療上の診断や治療に代わるものではありません。施術結果には個人差があり、副作用が生じる可能性があります。詳しくは専門医にご相談ください。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です