糸リフト 種類とは、肌の下に入れる医療用の溶ける糸を「素材(PDO・PCL・PLLA)」「形(コグ・スクリュー・モノ)」「固定方法」で分けたもので、この組み合わせによって引き上げの強さと持ちが変わります。
「どの糸が自分に合うのか」「どれくらい持つのか」——糸リフトをご検討中の方から、最も多くいただくご質問です。同じ「糸リフト(スレッドリフト)」でも、どの素材の糸を、どの形で、どこに固定するかによって、仕上がりと持続期間は大きく変わります。
この記事では、医学教科書の内容をもとに糸リフトの種類を3つの軸で整理し、さらに「種類を選んでも糸では越えられない限界」、つまりフェイスリフトが必要になる境目までご説明します。糸リフトそのものの基本については、糸リフト施術の流れと二重固定の詳しい解説をご覧ください。監修はマイン美容外科・皮膚科の李聖郁(イ・ソンウク)院長(形成外科専門医)です。
目次
糸リフト 種類は「素材×形×固定」の3軸で決まる
糸リフトの種類は、商品名やブランド名で語られることが多いのですが、医学的には次の3つの軸で整理すると、違いがぐっと分かりやすくなります。
素材=どれくらいで溶けるか
糸リフトに使われる糸のほとんどは、溶ける糸(吸収糸・生体吸収性の糸)です。手術の縫合糸と同じように、体の中で加水分解(水分によってゆっくり分解される反応)を受け、最終的には水や二酸化炭素などに分かれて排出されます。そのため、あとから抜糸する必要はありません。素材によって溶けるまでの期間が異なり、これが「持ち」の違いにつながります。
形=どう引き上げるか
糸の表面にトゲ(コグ)があるか、らせん状にねじれているか、まっすぐな1本の糸かによって、役割が変わります。その場で引き上げるのか、ボリュームやハリを補うのか、肌質を整えるのか——目的に合わせて形を選びます。
固定=どこで支えるか
引き上げた組織をどこで支えるかも、大切な要素です。糸の端をこめかみの丈夫な膜に留めるのか、どこにも留めずに肌の中に「浮かせる」のかで、引き上げの力のかかり方が変わります。
素材で比べる溶ける糸の種類:PDO・PCL・PLLAの吸収期間
3つの素材の違いを一言でいえば、「どれくらいの期間、体の中にとどまるか」です。とどまる期間が長いほど、糸が肌に働きかける時間も長くなります。
PDO:最も一般的で炎症反応が少ない
PDO(ポリジオキサノン)は、外科手術の縫合糸として長く使われてきた素材です。美容皮膚科の教科書では、PDOは従来の縫合糸に比べて炎症反応が少なく、吸収性にも優れていると説明されています。現在使われているモノ糸・スパイラル糸の大半と、多くのコグ糸がPDO製です。
医学教科書によると、PDO糸は約6〜8ヶ月で吸収され、この比較的短い吸収期間を補うためにPCL・PLLA糸が開発されました。扱いやすく使用実績も多い素材ですが、「できるだけ長く持たせたい」という目的には、ほかの素材も検討されます。
PCL:やわらかく、最長約2年とどまる
PCL(ポリカプロラクトン)は、柔軟性と弾力性が高い素材です。教科書では、PCLはPDOやPLLAに比べて痛みや違和感が少ないとされ、体の中に最長約2年とどまってから吸収されると記載されています。
また、動物を対象にした研究では、PCL糸の周囲で8週の時点で新しいコラーゲンが50%増え、PDO・PLLAより多かったと教科書に紹介されています。ただし動物での結果であり、人の肌でどの程度の変化が出るかは人によって異なります。
PLLA:ゆっくり分解されコラーゲン生成を促す
PLLA(ポリL乳酸)は、とてもゆっくり分解されながら、数ヶ月かけて肌にコラーゲンが蓄えられるよう働きかける素材です。美容の分野での歴史も長く、2006年に米国FDAで美容目的の使用が承認されています。「引き上げる」というより「ハリを育てる」役割に強みがあります。
比較表:吸収期間・特徴・向いている目的
医学教科書の記載をもとに、3つの素材を表にまとめました。PCL・PLLA糸は約1〜2年かけて吸収され、教科書ではPCLは最長約2年とどまるとされています。
| 素材 | 吸収期間の目安 | 主な特徴 | 向いている目的 |
|---|---|---|---|
| PDO(ポリジオキサノン) | 約6〜8ヶ月 | 炎症反応が少なく、最も一般的。モノ・スクリュー・コグの多くに使われる | 初めての糸リフト、肌質改善、比較的短期間の引き上げ |
| PCL(ポリカプロラクトン) | 約1〜2年(最長約2年) | やわらかく弾力があり、違和感が少ない | 持ちを重視したい方、フェイスラインの引き上げ |
| PLLA(ポリL乳酸) | 約1〜2年 | ゆっくり分解され、コラーゲン生成を長く促す | ハリ・弾力の改善を重視したい方 |
吸収が遅い素材ほど、糸が組織を刺激する期間が長くなり、ハリの改善も続きやすい傾向があります。ただし、実際の持ちは肌の状態や生活習慣によって人それぞれ異なります。
形で比べる糸リフトの種類:コグ・スクリュー・モノの役割
素材が「持ち」を決めるとすれば、形は「どう効くか」を決めます。
コグ糸:トゲで組織を引っ掛けて即時に引き上げる
コグ糸は、糸の表面に小さなトゲ(コグ)が並んだ糸です。ハンガーが服を掛けて持ち上げるように、トゲが皮膚の下の組織を引っ掛けて、たるんだ部分をその場で引き上げます。施術当日からフェイスラインの変化を感じやすいのは、このコグ糸による物理的な引き上げのためです。
スクリュー糸:らせん状でボリュームとハリを補う
スクリュー糸(スパイラル糸)は、糸がらせん状にねじれた形をしています。引き上げる力は強くありませんが、細かいくぼみやハリの不足を補い、肌に厚みを持たせる目的で使われます。
モノ糸:トゲのない糸でコラーゲンを促し肌質を整える
モノ糸は、トゲのないまっすぐな細い糸です。糸が溶けていく過程で、肌はこれを「修復が必要なサイン」と受け取り、線維芽細胞(肌のハリをつくる細胞)が働いて新しいコラーゲンがつくられます。引き上げよりも、肌のキメやハリを整えることが主な目的です。
目的別の組み合わせ例
実際の施術では、1種類だけを使うのではなく、目的に応じて糸を組み合わせるのが一般的です。代表的な考え方は次のとおりです。
- フェイスラインを引き上げたい → コグ糸を中心に、PCLなど持ちの長い素材を検討
- 小じわやハリ不足が気になる → モノ糸・スクリュー糸を中心に、PDOやPLLAを検討
- 引き上げとハリの両方を求めたい → コグ糸で引き上げ、モノ糸で肌質を整える組み合わせ
どの組み合わせが合うかは、たるみの位置や程度、皮膚の厚みによって変わります。具体的な糸の選び方は、診察のうえご案内いたします。
固定方法の違い:側頭筋膜固定と二重固定
教科書にみる固定法の変化
糸リフトの歴史を振り返ると、固定の考え方も変わってきました。教科書によると、初期のコグ糸は溶けないポリプロピレン製で、こめかみを小さく切開し、深側頭筋膜(deep temporal fascia:こめかみの奥にある丈夫な膜)に糸を固定する方法が用いられていました。
その後、糸は溶けるPDOへと移り変わり、現在では切開せずに側頭部で固定する方法や、糸をどこにも留めずに組織の中に浮かせる「フローティング法」も使われています。固定点を設けるかどうかで、引き上げた組織の支え方が変わるため、糸の種類と同じくらい大切な選択になります。
マイン美容外科・皮膚科の二重固定の位置づけ
マイン美容外科・皮膚科の二重固定は、この側頭筋膜への固定の流れをくむ方法です。まず糸を側頭筋膜(こめかみ部分の丈夫な膜)に1次固定し、さらに糸と糸の間をもう一度結んで、力が一点に集中しないよう分散させます。洗濯物を1か所ではなく2か所でしっかり留めるようなイメージです。二重固定の詳しい特徴は、冒頭でご紹介した記事でご確認いただけます。
糸リフト 種類を選んでも越えられない限界:フェイスリフトとの違い
どんなに良い素材・形・固定方法を選んでも、糸リフトには構造上の限界があります。これが、たるみの程度によってはフェイスリフトをおすすめする理由です。
グライドプレーンと固定点への荷重集中
医学教科書では、糸リフトの働きをグライドプレーン(glide plane:皮膚とその下の組織の間にある、互いに滑り合う面)という考え方で説明しています。糸はこの「滑る性質」を利用して、組織を上へ移動させます。
ただし、Minelli(2024)の報告によると、糸で組織を引くと、顔を本来の位置に支えていた支持線維(retaining fiber:組織をつなぎ止める線維)の向きが少しずれ、糸を留めている固定点に荷重が集中します。一点に重さがかかり続けるため、時間とともに支える力が弱まっていきます。これが、糸リフトの持ちがフェイスリフトに及ばない理由のひとつです。
SMASごと持ち上げるフェイスリフトの仕組み
これに対してフェイスリフトは、皮膚だけでなく、その下にあるSMAS(スマス:顔を支える筋肉と筋膜の層)を剥離し、より高い位置に再固定する手術です。顔の組織を骨につなぎ止めている支持靭帯(retaining ligament)をいったんゆるめ、支える構造ごと新しい位置に据え直すため、力が一点に偏りにくく、効果が長く続きます。
教科書でも、SMASを扱う手術は皮膚を切り取るだけの方法より優れた結果が得られる一方、皮膚を中心とした方法は手術時間や回復期間が短いと整理されています。糸リフトが「一点で吊るす」方法だとすれば、フェイスリフトは「土台そのものを移して建て直す」方法といえます。
侵襲度・適応・持続期間・ダウンタイムの比較表
| 項目 | 糸リフト | フェイスリフト |
|---|---|---|
| 侵襲度(切開) | 切開なし(カニューレなどで糸を挿入) | 耳の前などを切開 |
| 主な適応 | 30〜50代の初期〜中等度のたるみ | 中等度以上のたるみ |
| 持続期間の目安 | 素材により約6ヶ月〜2年(PDO約6〜8ヶ月・PCL/PLLA約1〜2年) | 約5〜10年 |
| ダウンタイム | 数日〜1週間 | 約2〜4週間 |
糸リフトの持続は素材により約6ヶ月〜2年、フェイスリフトは約5〜10年が目安です(いずれも人によって差があります)。世界の美容医療の動向については、国際美容外科学会(ISAPS)のサイトも参考になります。
自分に合う糸リフトの種類はどれ?たるみ別の選び方
ここまでの内容をもとに、たるみの程度別の目安を整理しました。あくまで一般的な目安であり、最終的な判断は診察で行います。
初期のたるみ・肌質重視の方
たるみはまだ軽いものの、ハリの低下や小じわが気になる段階では、モノ糸・スクリュー糸を中心に肌質を整える方法が候補になります。素材はPDOのほか、ハリを長く育てたい場合はPLLAも検討します。
フェイスラインのたるみが気になり始めた方
あご下やほうれい線まわりのたるみが目立ち始めた初期〜中等度の段階では、コグ糸による引き上げが中心になります。持ちを重視するならPCLなど吸収の遅い素材を選び、固定方法まで含めて設計することで、引き上げた状態を支えやすくなります。施術内容の詳細は、マインの糸リフトのページでご覧いただけます。
たるみがはっきりしている方はフェイスリフトも検討
皮膚の余りが大きく、たるみが中等度以上ではっきりしている場合は、糸の種類を変えても十分な引き上げを得にくくなります。この段階では、ミニフェイスリフトやフェイスリフトが選択肢に入ります。それぞれの違いはミニフェイスリフトと糸リフトの比較で詳しくご紹介しています。
種類によって変わる?糸リフトの経過と副作用
糸の種類によって持ちやハリの出方は変わりますが、施術当日から数週間の経過そのものは、種類による大きな差はありません。
当日〜3ヶ月の経過(概要)
糸リフトは局所麻酔で30〜60分ほどで終わり、腫れや内出血は1〜2週間で落ち着くことが多いです。施術後はそのままお帰りいただけ、翌日から軽い日常生活に戻れる方がほとんどです。
- 当日:引き上げの変化と、軽いつっぱり感
- 1週間:腫れや内出血が引き始め、表情になじんでくる
- 1ヶ月:最も自然な仕上がりに落ち着いてくる時期
- 3ヶ月:コラーゲンの生成が進み、糸による違和感もほとんどなくなる
回復のスピードは人によって差があります。準備から当日までの流れは、糸リフト施術の流れと二重固定の詳しい解説にまとめています。
よくある一時的な反応と受診すべきサイン
腫れ・内出血・つっぱり感・違和感は比較的よく見られる反応で、多くは1〜2週間ほどで自然に落ち着きます。この時期は、激しい運動・サウナ・飲酒を控えると回復がスムーズです。
まれに、感染・左右差・糸の露出などが起こることがあります。施術部位の赤みや熱感が強まる、痛みが引かない、皮膚の外に糸が透けて見えるといった場合は、ご自身で処置をせず、早めに当院までご連絡ください。術後ケアの詳細は糸リフト手術後の注意事項でご案内しています。すべての手術には一定のリスクが伴います。
よくある質問
糸リフトの効果はどれくらい持ちますか?
糸の素材によって変わります。医学教科書では、PDO糸は約6〜8ヶ月、PCL・PLLA糸は約1〜2年(PCLは最長約2年)で吸収されるとされています。糸が溶けた後も、つくられたコラーゲンによってハリがしばらく続くことがあります。持ちには個人差がございます。
PDO・PCL・PLLAはどう違うのですか?
主な違いは、吸収期間と素材の性質です。PDOは最も一般的で比較的早く溶け、PCLはやわらかく長くとどまり、PLLAはゆっくり分解されながらコラーゲンの生成を促します。詳しくは本文の比較表をご覧ください。
なぜ糸リフトはフェイスリフトより持ちが短いのですか?
糸は固定点で組織を吊り上げるため、荷重が一点に集まりやすい構造だからです。フェイスリフトはSMAS(顔を支える筋膜の層)ごと高い位置に再固定するため、効果が長く続きやすくなります。
溶ける糸は体の中でどうなりますか?
加水分解という自然な分解の過程を経て、水や二酸化炭素などに分かれて排出されます。抜糸の必要はありません。分解が進む間に、周囲の組織が刺激を受けてコラーゲンの生成が促されます。
糸リフトの後にMRIは受けられますか?
溶ける糸は金属ではないため、MRI検査に影響しません。施術から間もない時期であれば、念のため検査の前に当院へご相談ください。
マイン美容外科・皮膚科で糸リフトの種類をご相談ください
同じ「たるみ」でも、原因や程度は一人ひとり異なります。マイン美容外科・皮膚科では、李聖郁(イ・ソンウク)院長(形成外科専門医)がたるみの位置と程度を直接診察し、どの種類の糸リフトが合うのか、あるいはフェイスリフトを検討したほうがよいのかを一人ひとりに合わせてご案内します。
当院は韓国・ソウル江南にあるクリニックで、日本語スタッフがご相談をサポートします。LINE公式アカウントでは、お顔のお写真をお送りいただくだけで、日本語での無料写真カウンセリングを承っています。お電話(+82-2-516-1175)でもお問い合わせいただけますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
【注意事項】本記事はマイン美容外科・皮膚科が医療広告ガイドラインに基づき作成した情報提供記事です。
すべての手術には、炎症・出血・感染などの副作用が生じる可能性があります。
効果・結果には個人差がございます。手術前に必ず専門医との十分なカウンセリングをお受けください。
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※ 本コンテンツは情報提供のみを目的としており、医療上の診断や治療に代わるものではありません。施術結果には個人差があり、副作用が生じる可能性があります。詳しくは専門医にご相談ください。


