乳房縮小術 術前 準備とは、胸を小さくする手術(乳房縮小術)を安全に受けて回復をスムーズにするために、手術の数週間〜数ヶ月前から検査・薬の調整・生活習慣・心と住まいを整えておくことです。
肩こりや首の痛み、合う下着や服がなかなか見つからない——そんな悩みから乳房縮小術を決心された方は少なくありません。一方で、手術日が決まったあとに「いつまでに、何をしておけばいいのか」がわからず不安になる、というお声もよくうかがいます。
この記事では、形成外科専門医の立場から、手術の2〜3ヶ月前から前日までの準備を時期別に整理し、術前検査、控える薬やサプリ、カウンセリングで聞きたい質問、心の準備、回復に備えた用意までを順番にご説明します。手術の対象になるかどうかや術式の違いは別の記事で解説しているので、ここでは「手術を受けると決めたあとの準備」に絞ってお話しします。
目次
乳房縮小術 術前 準備とは?いつから始めるか — 時期別タイムライン
乳房縮小術とは(対象・術式は別記事で)
乳房縮小術は、大きすぎる乳房の乳腺・脂肪・皮膚の一部を取り除いて胸を小さく軽くし、下がった乳頭・乳輪の位置を引き上げて形を整える手術です。見た目だけでなく、肩・首・背中の負担をやわらげる目的で受ける方も多くいらっしゃいます。
ご自身が手術の対象になるか、逆T字切開法などの術式がどう違うかについては、胸を小さくする手術の対象と術式で詳しくまとめています。あわせてお読みいただくと、この先の準備がイメージしやすくなります。
準備タイムライン一覧(2〜3ヶ月前〜前日)
乳房縮小術の準備は、理想的には手術の2〜3ヶ月前から始めると余裕を持って進められます。特にタバコを吸う方は禁煙の期間が必要になるため、早めに動き出すのがおすすめです。全体の流れを下の表にまとめました。
| 時期 | 主にやること | ポイント |
|---|---|---|
| 2〜3ヶ月前 | カウンセリング・診察、体重と体調を整える、休暇や渡韓日程の検討 | 希望のサイズや不安なことをメモしておく |
| 4週間前 | 禁煙を始める(加熱式・電子タバコも含む) | 傷の治りに直接かかわる |
| 2〜4週間前 | 術前検査を受ける | 項目は年齢・既往歴に応じて医師が決める |
| 2週間前 | 薬・サプリの調整、禁酒 | 持病の薬は自己判断で止めない |
| 1週間前 | 激しい運動を控える、住まいと回復用品の準備 | 手術後の生活を具体的にイメージする |
| 前日 | 指示どおりの絶飲食、入浴・シャワー、早めの就寝 | 案内書をもう一度読み直す |
渡韓して手術を受ける方は、この段階で航空券や滞在日数、帰国後に担当スタッフと連絡を取る方法も確認しておきましょう。必要な滞在日数は手術の範囲や経過によって変わるため、診察時にご案内します。
イ・ソンウク院長のポイント:準備は「手術日から逆算して」考えるのがコツです。いちばん時間がかかるのは禁煙と体調づくりなので、まずはそこから始めてください。
手術前に受ける検査 — 年齢・既往歴に応じて決まる項目
術前検査は、麻酔と手術を安全に受けられる体の状態かどうかを確かめるためのものです。すべての方が同じ検査を受けるわけではなく、年齢や既往歴(これまでにかかった病気)、服用中の薬に応じて、医師が必要な項目を判断します。
形成外科の教科書では、術前準備の柱として「年齢や既往歴に応じた検査」と「前日の注意事項をまとめた案内」の2つが挙げられています。検査で体の状態を確かめ、案内書で当日までの過ごし方を共有する——この2本立てが、安全な手術の土台になります。
検査項目の例と目的
| 検査 | 主な目的 |
|---|---|
| 血液検査 | 貧血、血の固まりやすさ(凝固機能)、感染症の有無を調べる |
| 尿検査 | 腎臓の働きや尿路の感染がないかを確認する |
| 心電図 | 心臓のリズムや状態を確認する |
| 胸部X線(レントゲン) | 肺の状態を確認する |
| 肝機能検査 | 麻酔薬などを分解する肝臓の働きを確認する |
| マンモグラフィまたは乳腺エコー | 乳房の中にしこりなどの異常がないかを確認する(40歳以上の方や、乳がんの家族歴がある方は特に大切) |
上の表はあくまで一例で、実際の項目は診察のうえで決まります。日本で受けた乳がん検診(マンモグラフィやエコー)の結果がお手元にあれば、持参いただくと診察の参考になります。
検査のタイミング
術前検査は一般に手術の2〜4週間前に行い、項目は年齢や既往歴に応じて医師が決めます。結果によっては追加の確認が必要になることもあるため、手術直前ではなく余裕のある日程で受けておくと安心です。日本で受けた検査結果を使えるかどうかは、事前にお問い合わせください。
診察で行う乳房の計測
診察では、検査とは別に乳房の計測も行います。乳房手術の教科書では、診察時に乳房の幅、胸骨切痕(鎖骨の間のくぼみ)から乳頭までの距離、乳房下溝(胸の下のしわ)から乳頭までの距離、皮膚と皮下組織の厚み、乳輪の幅など7つの項目を計測するとされています。あわせて乳房の下がり具合(下垂の程度)や、しこりがないかも確かめます。
こうした数字は、どこを切り、どれだけ小さくし、乳頭をどの高さに移すかというデザインの土台になります。左右の大きさや乳頭の高さの違いもこの段階で把握し、患者様と共有しておきます。
手術2週間前から控える薬・サプリと、医師に相談すべき薬
アスピリンやイブプロフェン、ビタミンE・オメガ3のサプリは、出血しやすくなるため手術の2週間前から控えるのが一般的です。薬の調整は手術の安全に直結しますので、ここは時間をかけて確認しておきましょう。
2週間前から控えることが多いもの
- アスピリン、イブプロフェンなどの解熱鎮痛薬(市販の頭痛薬や生理痛の薬に含まれていることもあります)
- ビタミンE、オメガ3(EPA・DHA)などのサプリメント
- ニンニク、イチョウ葉などを使った健康食品やハーブ系のサプリ
これらには血を固まりにくくする働きがあり、手術中や手術後の出血、内出血につながることがあります。この期間に痛み止めが必要になった場合、代わりに飲める薬は医師にお尋ねください。

自己判断で止めずに相談すべき薬
- 降圧薬や糖尿病の薬など、持病の治療薬
- 低用量ピルなどのホルモン剤
- 抗うつ薬・抗不安薬など、心の不調に使う薬
- 血をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)
これらは急にやめると体調を崩すおそれがあるため、ご自身の判断で中止しないでください。続けるか、いつから休むかは、処方している主治医と手術を担当する医師が相談して決めます。
お薬手帳で全部伝える
処方薬だけでなく、市販薬、漢方薬、サプリメント、健康食品まで、飲んでいるものはすべてお知らせください。日本の方はお薬手帳を持参いただくのがいちばん確実です。手元にない場合は、薬のパッケージをスマートフォンで撮影しておくだけでも役立ちます。
薬や食べ物でかゆみ・じんましんなどのアレルギーが出たことがある方は、その内容も必ず伝えてください。麻酔や手術後の薬を選ぶときの大切な手がかりになります。
イ・ソンウク院長のポイント:「サプリくらいなら大丈夫」と思われがちですが、出血に影響するものも少なくありません。迷ったものは、すべて書き出して相談してください。
乳房縮小術のカウンセリングで聞くべき質問10個と持ち物
カウンセリングは、手術の方法を決めるだけでなく、医師と患者様が「どこを目標にするか」をすり合わせる時間でもあります。聞き忘れがないよう、質問をメモして持っていきましょう。
質問リスト10個
- 「私の体型や胸の状態には、どの術式が合っていますか?」
- 「どのくらい小さくでき、どんな形になりそうですか?」
- 「傷跡はどこにでき、目立ちにくくするにはどうすればいいですか?」
- 「私の場合、特に気をつけるべきリスクはありますか?」
- 「日常生活・仕事・運動に戻れるのは、それぞれいつごろが目安ですか?」
- 「乳頭の感覚が変わる可能性はどのくらいありますか?」
- 「将来、授乳はできますか?」
- 「年齢を重ねると、胸の形はどう変わっていきますか?」
- 「将来、再手術が必要になる可能性はありますか?」
- 「帰国後の経過観察や、気になる症状が出たときの連絡方法は?」
乳頭の感覚や授乳、再手術の可能性は個人差が大きく、一概には言えない部分です。ご自身の場合どうなるのか、遠慮なく具体的に聞いてみてください。
持参すると役立つ資料
- お薬手帳(または服用中の薬・サプリのリスト)
- これまでの病気や手術の記録
- 乳がんなど、乳房の病気の家族歴
- 症状のメモ(肩こり、首や背中の痛み、胸の下のかぶれなど — 部位・強さ・頻度)
- 希望するサイズや形の参考写真
- 聞きたいことをまとめた質問メモ
- 乳がん検診の結果(お持ちの場合)
患者様向けの基本的な情報を英語で確認したい方には、米国形成外科学会(ASPS)の乳房縮小術の解説(英語)も参考になります。
医師選びで確認したいこと
- 形成外科専門医かどうか
- 乳房縮小術の経験が豊富かどうか
- 質問にわかりやすく答え、リスクも含めて説明してくれるか
- 手術後のフォロー体制(帰国後の連絡方法を含む)が整っているか
手術前の生活習慣 — 禁煙・禁酒・食事・運動
手術の結果や回復のしかたは、手術前の生活習慣にも左右されます。数週間前から、次のポイントを意識して過ごしましょう。
禁煙は少なくとも4週間前から
タバコは少なくとも手術の4週間前からやめ、傷が治るまで再開しないことが大切です。ニコチンなどの影響で血管が縮み、皮膚や組織に届く血液が少なくなるためです。
乳房縮小術では皮膚や乳腺を動かして形を整えるので、血の巡りが悪いと傷の治りが遅れたり、傷口が開いたり、皮膚や組織の一部が壊死(血が届かずに傷んでしまうこと)したり、感染が起きやすくなったりします。加熱式タバコや電子タバコも同じように控えてください。

飲酒は2週間前から控える
お酒は手術の2週間前から控えます。アルコールには血を止まりにくくする作用があり、出血や内出血のリスクにつながります。また、麻酔薬を分解する肝臓に負担をかけ、体の抵抗力も下げてしまいます。
食事と前日の絶飲食
手術前の栄養状態は、傷の治りにも影響します。毎日の食事で、次のようなものを意識してとりましょう。
- たんぱく質:肉や魚、卵、大豆製品など(傷を治す材料になります)
- ビタミンC:果物や野菜(コラーゲンづくりを助けます)
- 亜鉛:ナッツ類や種実類など
- 食物繊維:手術後に起こりやすい便秘の予防に
- 水分:1日2リットルほどが目安
塩分や糖分の多い加工食品は控えめにしてください。オメガ3は青魚などの食事からとるぶんには問題ありませんが、サプリメントは手術の2週間前から中止します。
手術前日からは、医師の指示に従って食事と飲み物を止めます(絶飲食)。一般的には手術の8〜12時間前からが目安ですが、開始時刻は麻酔の方法や手術の時間によって変わるため、案内された時刻を必ず守ってください。
運動と体重の整え方
ウォーキングや水泳などの軽い有酸素運動やストレッチは、体力づくりに役立ちます。一方で、手術の1週間前からは息が上がるような激しい運動は控えましょう。
体重は急に増やしたり減らしたりせず、安定した状態で手術を迎えるのが理想です。手術前後の体重管理については、乳房縮小術と体重の関係で詳しくご紹介しています。
イ・ソンウク院長のポイント:禁煙だけは「少し減らす」では足りません。手術の4週間前からは完全にやめ、傷が落ち着くまで続けてください。
心の準備 — 現実的な期待と不安への向き合い方
形成外科の教科書でも、期待値のすり合わせと、十分な説明にもとづく同意(インフォームド・コンセント)は、術前準備の重要な要素として位置づけられています。手術の前に「何が変わり、何は変わらないのか」を理解しておくことが、満足につながります。
現実的な期待値を持つ
- 傷の治り方や組織の反応には個人差があります
- 人の体はもともと左右差があり、手術後も軽い左右差が残るのは自然なことです
- 傷跡は時間とともに薄くなりますが、完全には消えません
- 最終的な形は、数ヶ月かけて少しずつ落ち着いていきます
- 手術後のカップサイズを正確に予測するには限界があります
すべての手術には一定のリスクが伴います。腫れや内出血、むくみ、違和感などが出る可能性も含めて、カウンセリングで納得できるまで説明を受けてください。
手術前の不安を和らげる方法
手術前に不安になるのは、ごく自然なことです。次のような方法で、気持ちを整えていきましょう。
- 手術の流れや回復、起こりうる合併症について正確な情報を得る
- ゆっくりした呼吸法や瞑想で、緊張をほぐす
- 必要に応じて、カウンセラーなどの専門家に話を聞いてもらう
- 同じ手術を経験した方の話を聞く
- 質問に丁寧に答えてくれる、信頼できる医師を選ぶ
サポートしてくれる人を決めておく
手術後少なくとも24〜48時間は、身の回りを手伝ってくれる人がいると安心です。ご家族やご友人に、あらかじめお願いしておきましょう。気持ちの面で支えてくれる人がいることも、回復の大きな助けになります。
渡韓して手術を受ける場合は、同行者がいるかどうかで滞在中の過ごし方が変わります。お一人で渡韓される予定の方は、滞在中のサポートについて事前にご相談ください。
回復に備えて手術前に用意しておくこと
手術後しばらくは腕を大きく動かしにくくなるため、身の回りのことを手術前に整えておくと回復期がぐっと楽になります。
回復期間の物品チェックリスト
ケア用品
- 処方された薬
- ガーゼや消毒用品など、傷のケア用品
- 体温計
- 圧迫ブラ(選び方と着け方は乳房縮小術後の圧迫ブラをご参照ください)
- 保冷剤(腫れ対策。使い方は医師の指示に従ってください)
生活用品
- 前開きの服(腕を上げずに着替えられるもの)
- 上半身を少し高くして休むためのクッションや枕
- 横になったままでも飲みやすい、ストロー付きの水筒
- 手軽に食べられる栄養のある間食
- シャワーチェア
- 腕の下に挟むタオルロール
- 本やタブレットなど、安静中の時間を過ごせるもの
住まいの環境を整える
- よく使う物は、腕を伸ばさなくても手が届く高さに移しておく
- 寝室やトイレ・浴室までの動線を確認し、必要な物を置いておく
- 温めるだけで食べられる食事を作り置きしておく
- つまずきやすい物を片付け、転倒を防ぐ
- 掃除は手術前に済ませておく
仕事復帰・運転・帰国のスケジュール
職場や学校には早めに相談して休暇を確保し、家事や育児、ペットの世話を手伝ってもらう手配もしておきましょう。運転は、痛み止めの影響や腕の動かしやすさを考えて、しばらく控える前提で移動手段を考えておくと安心です。
仕事や運転、運動に戻れる時期は、手術の範囲や回復の具合によって個人差があるため、診察時にご案内します。経過観察の日程や、渡韓の方は帰国日も含めて、無理のない計画を立てましょう。運動の再開については手術後の運動再開の目安、手術後の生活全般については乳房縮小術後の注意事項にまとめています。
乳房縮小術の術前準備でよくある質問
乳房縮小術 術前 準備はいつから始めればいいですか?
理想的には、手術の2〜3ヶ月前から始めると余裕を持って進められます。この期間に体調づくり、術前検査、生活習慣の見直し、心の準備を順番に進めていきます。タバコを吸う方は少なくとも4週間前からの禁煙が必要なので、特に早めに準備を始めてください。
手術前にやめるべき薬やサプリは何ですか?
アスピリンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛薬、ビタミンE・オメガ3のサプリ、ニンニクやイチョウ葉などのハーブ系サプリは、手術の2週間前から控えることが多いです。一方、降圧薬や糖尿病の薬、ホルモン剤、抗うつ薬などは自己判断で止めず、必ず医師にご相談ください。
術前検査ではどんな検査をしますか?
年齢や既往歴に応じて、血液検査、尿検査、心電図、胸部X線、肝機能検査、マンモグラフィや乳腺エコーなどの中から、医師が必要な項目を決めます。一般に手術の2〜4週間前に行います。
タバコは手術の何週間前にやめればいいですか?
少なくとも手術の4週間前から完全にやめてください。加熱式タバコや電子タバコも同様です。手術後も、傷が治るまでは再開しないことが大切です。
乳房縮小術のあと授乳はできますか?
授乳ができるかどうかは、術式や乳頭・乳輪の扱い方によって変わります。乳管や乳腺を残す方法もありますが、授乳できることを保証するのは難しいのが実情です。将来授乳を考えている方は、術式を決める前に必ず医師にお伝えください。
渡韓して手術を受ける場合、事前に何を準備すればいいですか?
お薬手帳や乳がん検診の結果を用意し、同行者の有無、滞在日数、帰国後の連絡方法を事前に確認しておきましょう。必要な滞在日数は手術の範囲や経過によって異なるため、診察時にご案内します。
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乳房縮小術は、胸の重さによる不調から解放され、毎日を楽に過ごすための大切な決断です。準備を一つずつ整えておくことが、安全な手術とスムーズな回復につながります。
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作成・監修:マイン美容外科・皮膚科 代表院長 イ・ソンウク(李聖郁)(形成外科専門医)
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※ 本コンテンツは情報提供のみを目的としており、医療上の診断や治療に代わるものではありません。施術結果には個人差があり、副作用が生じる可能性があります。詳しくは専門医にご相談ください。



