二重あご唾液腺同時手術とは?筋肉と唾液腺を一度の麻酔で整える手術

二重顎筋肉縛り唾液腺同時手術で顎下のラインを整えた女性のイメージ

二重あご唾液腺同時手術とは、たるんだ広頸筋(こうけいきん/首の前面を覆う薄い筋肉)を正中で縫い縮める「筋肉縛り」と、顎下を膨らませる顎下腺(唾液腺)を一部だけ小さくする処置を、一度の麻酔で同時に行う複合手術です。

横から鏡を見るたびに、顎の下が丸く落ちて見える——診察室では、そう打ち明けてくださる患者様に本当によくお会いします。とくに脂肪吸引まで受けたのにふくらみがそのまま残っている場合、もどかしさはひときわ大きいはずです。

二重あご(二重顎)のふくらみは、脂肪だけの問題ではありません。脂肪・筋肉・唾液腺という複数の組織が重なり合っています。この記事では、顎下の体積のうち唾液腺がどれだけを占めるのか、なぜ筋肉の処置と唾液腺の処置を一度の麻酔でまとめて行うのか、回復はどう進むのかを、診察室でご説明するのと同じ順番で整理してお伝えします。

二重あご唾液腺同時手術とは?一度の麻酔で行う複合手術

「筋肉を縛る」と「唾液腺を小さくする」を同時に行う理由

顎下のふくらみをつくっている要素は、人によって比重が違います。ある方はゆるんだ筋肉が主役で、ある方は大きくなった唾液腺が主役です。そして少なくない方が、その両方を併せ持っています。原因が二つあるのに片方だけを整えると、鏡を見たときの物足りなさが残ってしまいます。

広頸筋と顎下の範囲を点線で示した女性の横顔
顎下を支える広頸筋の位置

そこで、ゆるんだ筋肉を中央で縫い縮める処置と、顎下腺を一部だけ小さくする処置を、同じ小さな切開口から続けて行います。切開口も麻酔も一度で済むため、二回に分けて受ける場合と比べて、体への負担と回復の回数を抑えやすくなります。

二回に分けて手術する場合との違い

同じ内容を別々の日に受けるとすれば、麻酔も、切開も、腫れが引くのを待つ期間も二度必要になります。同時に行う場合はそれが一度にまとまるため、スケジュールを組みやすい点も、渡韓される方には実際的なメリットになります。

ただし「まとめたほうがいつでも良い」わけではありません。唾液腺の処置が本当に必要かどうかは検査で判断します。この点は後の章で詳しくお話しします。術式そのものをもっと知りたい方は、ケース別カスタマイズ二重顎筋肉縛りのページも参考になさってください。

広頸筋縫縮術(コルセット式)の基本的な考え方

筋肉を縛る処置は、医学教科書で corset platysmaplasty(コルセット式広頸筋縫縮術)と呼ばれる考え方に沿っています。コルセットを締めるように、左右に開いた広頸筋の内側の縁を、首の正中線で上下に連続して縫い合わせる方法です。こうして首の中央にできていた縦スジと、顎下の丸みを一緒に整えていきます。

固定には、体内で溶けない非吸収糸(時間がたっても吸収されない糸)を用います。脂肪を減らして体積を落とす手術とは発想が異なり、開いてしまった構造そのものを寄せ直して支える手術だとお考えいただくと分かりやすいと思います。外科的な矯正を検討する際は、日本形成外科学会の専門医と十分に相談したうえで決めることをおすすめします。

顎下の体積の約24.5%は唾液腺 — 3層構造で見る原因の内訳

皮下脂肪・筋層下脂肪・顎下腺という3つの層

「顎の下のふくらみは、いったい何でできているのでしょうか」。これは私が最も多くいただく質問のひとつです。答えは、顎の下が脂肪の一層だけでできているわけではない、という一点に尽きます。

顎下の断面で皮下脂肪・広頸筋・筋層下脂肪の重なりを示したMRI画像
広頸筋をはさんで、皮下脂肪と筋層下脂肪が重なっている

顎下には、広頸筋をはさんで大きく三つの層が重なっています。皮膚のすぐ下にある皮下脂肪、広頸筋の下に隠れている筋層下脂肪、そして最も深いところにある顎下腺(唾液腺)です。広頸筋そのものは体積を占める層というより、上と下を分ける仕切りの役割を果たしています。表面から触れるのは一番上の層だけですから、ふくらみの原因が下の層にあると、外からは見分けがつきません。

体積の内訳:皮下脂肪44%・筋層下脂肪30.7%・顎下腺24.5%

形成外科の教科書(Neligan, Plastic Surgery Aesthetic)によると、顎下の体積の内訳はおおよそ次のように示されています。

顎下を構成する組織 体積に占める割合
皮下脂肪 約44%
広頸筋の下の脂肪(筋層下脂肪) 約30.7%
顎下腺(唾液腺) 約24.5%
出典:形成外科の教科書 Neligan, Plastic Surgery Aesthetic

つまり顎下のおよそ4分の1は、脂肪ではなく唾液腺だということになります。そして脂肪吸引は文字どおり脂肪を減らす手術ですから、顎下腺が大きくなっている方の場合、引き出しの中の細かい物をすべて取り出しても、奥に入った大きな箱はそのまま残るように、どれだけ吸引してもふくらみが残ります。この「取れない部分」の正体と広頸筋の役割については、脂肪吸引では取れない理由と広頸筋形成術の詳細で掘り下げていますので、原因の切り分けから知りたい方はそちらをご覧ください。二重あご唾液腺同時手術という術式が生まれた最も根本的な理由が、この体積の内訳にあります。

筋肉の開きと唾液腺 — セルフケアでは届かない範囲

広頸筋は鎖骨のあたりから顎の縁まで広がる、左右一対の薄い筋肉です。年齢を重ねるとこの筋肉の内側の縁が左右に開き、首の中央に縦スジとして目立つようになり、顎と首の境界がぼやけていきます。皮膚科の臨床文献(Essentials for Aesthetic Dermatology in Ethnic Skin, 2023)では、アジア人のたるんだ広頸筋の縦スジに対してはボトックスの効果が限定的で、外科的に整えるほうが持続しやすいと説明されています。

セルフケアや注射で届く範囲と、手術でしか届かない範囲は、はっきり分かれています。初期のたるみであれば非手術的な方法から検討できますが、筋肉の開きや唾液腺の大きさが原因であれば、外側からのケアだけでは限界があります。原因の見分け方については二重あごと唾液腺肥大症の原因の見分け方で詳しく整理しています。

こんな方に向いています — 超音波・CTによる診断が先です

顎下腺肥大のセルフチェック(あくまで目安)

顎の下を指で押したときに、やわらかい脂肪ではなく硬いかたまりが触れる。脂肪吸引を受けたのにふくらみが残っている。この二つは、顎下腺が大きくなっている可能性を疑うサインです。

筋層下の脂肪ブロックの位置と実際に摘出した組織
筋層下に脂肪ブロックが多い場合は同時に処理する

ただし、これはあくまで目安にすぎません。ご自身の指の感覚だけで唾液腺の大きさを判断することはできませんので、気になる点があればそのまま診察でお伝えください。

筋肉縛り単独で十分な方/同時手術が必要な方

唾液腺を小さくする処置は、超音波またはCTで顎下腺が実際に大きくなっていることを確認できた場合にのみ行います。正常な大きさの方には行いません。診断を先に置くのは、必要のない処置を足さないためです。

皮膚の弾力が保たれていて、ふくらみの主な原因がたるんだ筋肉と脂肪であれば、筋肉縛りだけで十分整うことが多くあります。一方、検査で顎下腺の肥大が確認された方は、筋肉の処置に唾液腺の処置を加えたほうが、輪郭の変化を実感しやすくなります。唾液腺の処置そのものについては顎下の唾液腺縮小についてもご覧ください。

手術以外の選択肢を先に検討したほうがよい方

二重あごがまだ初期の段階で、皮膚も筋肉もそれほどゆるんでいない方には、手術以外の方法から検討していただくことがあります。無理におすすめすることはありません。今の状態で得られる変化が小さいと判断すれば、その旨を正直にお伝えします。

反対に、50代以上で皮膚のたるみが進んでいる方は、筋肉を縫い縮めるだけでは余った皮膚が残ることがあります。その場合はミニネックリフトなどの併用が適切かどうかを、対面のカウンセリングで一緒に検討しましょう。

ご自身がどのタイプに近いかを先に整理しておきたい方は、5つの候補者タイプで自己診断もあわせてご覧ください。最終的な判断は、あくまで診察と検査の結果で行います。

手術の流れ — マイン美容外科の5ステップ

マイン美容外科では、次の5つのステップで進めています。

  1. STEP1:顎下の自然なしわに沿って約2〜3cmを切開します。
  2. STEP2:皮下脂肪を整えます。
  3. STEP3:以前の脂肪吸引などで硬く線維化した組織をていねいにほぐします。
  4. STEP4:非吸収糸で、左右に開いた広頸筋を正中線に沿って縫い縮めます。
  5. STEP5(オプション):筋層下の脂肪ブロックを取り除き、検査で肥大が確認された方には顎下腺の部分切除を加えます。

STEP1〜3:皮下脂肪・線維化した脂肪の処理と切開位置

切開は顎下の自然なしわに沿って約2〜3cmです。静脈鎮静(セデーション)下でおよそ30分〜1時間、日帰りで受けていただけます。傷あとが表情の陰に隠れる位置を選ぶため、正面から見て目立ちにくくなります。

二重あご唾液腺同時手術のSTEP01・STEP02の流れ
顎下のしわに沿った小切開から広頸筋の縫縮まで

はじめに皮下脂肪を整え、以前の脂肪吸引などで硬く線維化した部分があれば、その組織をていねいにほぐしていきます。ここまでは表面の層の処理です。手技レベルの詳しい手順は切開から縫合までの手術プロセスにまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。

STEP4:非吸収糸による広頸筋の縫縮

次に、左右に開いた広頸筋の内側の縁を正中線で寄せ、上下に連続して縫い縮めます。ここで非吸収糸を使うのは、時間がたっても寄せた構造がゆるみにくいようにするためです。この一手で、首の中央の縦スジと顎下の丸みが同時に整っていきます。

教科書が示す手順も、まず内側の広頸筋を縫い縮め、次に顎下腺の上で筋肉を縫合し、そのうえで唾液腺の縮小へ進むという順番です。マイン美容外科の5ステップも、この流れに沿って組み立てています。

STEP5(オプション):筋層下の脂肪ブロック除去と顎下腺の部分切除

筋肉の下に脂肪のかたまりが多く残っている場合は、その分だけを取り除きます。さらに検査で顎下腺の肥大が確認された方には、唾液腺の部分切除を加えます。STEP5は全員に行うものではなく、診断で必要と判断された方だけの追加オプションです。

顎下腺の縮小は、被膜内(唾液腺を包む薄い膜の内側)で必要な分だけ行うのが原則です。舌の動きや感覚に関わる神経は唾液腺の深い内側を走っているため、被膜の内側にとどめて処理することで、神経や血管に触れるリスクを抑えられます。二重あご唾液腺同時手術を安全に行えるのは、この解剖学的な線引きがあるからです。

ダウンタイムと回復の目安 — 1週間・2週間・1〜3か月

術後すぐ〜2週間:内出血とむくみの経過

回復の目安は、おおむね次のように進みます。

時期 目安となる経過
術後〜1〜2週間 内出血と腫れが徐々に落ち着く
約2週間 人と会っても気にならない程度に
1〜3か月 最終的な顎下の輪郭を確認

術後すぐでも、軽い日常生活はお過ごしいただけます。無理のない範囲で体を動かしましょう。むくみが気になる時期には、当院で高周波ケアをご案内しています。必要に応じて圧迫ケアを組み合わせることもあります。腫れの引き方には個人差がありますので、経過を見ながら一緒に調整していきましょう。

最終的な輪郭が見えてくるまでの期間

顎下の輪郭は、腫れが引くにつれて少しずつ現れてきます。2週間ほどで人と会っても気にならない程度になり、そこからさらに1〜3か月かけて、寄せた筋肉の位置が体になじんでいきます。焦らずに経過を追っていただくのが、いちばんの近道です。

同時手術ではダウンタイムが長くなりますか?

顎下腺の部分切除を併せて行った場合、腫れがやや長引くことはあります。ただし日常生活に戻る時期そのものは、大きく変わらない傾向です。二回に分けて受ける場合と比べれば、回復に付き合う期間の合計はむしろ短くなります。

洗顔・入浴・運動をいつから再開できるかなど、日ごとの過ごし方を先に確認しておきたい方は、日常復帰までの詳しいタイムラインもご覧ください。

副作用とリスク — 正直にお伝えします

起こりうる症状と、病院に連絡すべきサイン

どの手術でも、炎症・出血・内出血・むくみ・違和感などが生じる可能性があります。多くは経過とともに落ち着きますが、手術部位が赤く腫れる、痛みが日ごとに強くなるといった変化が現れた場合は、自己判断で様子を見ずに当院までご連絡ください。

マイン美容外科では術後の定期的な経過観察を行い、こうした変化を早い段階で確認できるようにしています。気になることがあれば、次回の予約を待たずにご相談いただいて構いません。

顎下腺の処置に特有のリスクについて

形成外科の学術誌 Plastic and Reconstructive Surgery(2015年)に報告された、顎下腺の縮小を行った112例の後ろ向き調査では、軽度の合併症が約10.8%、唾液がたまって水ぶくれのようにふくらむ唾液瘤(だえきりゅう/シアロセル)が約4.5%、口角を動かす神経の枝である下顎縁枝の一時的な麻痺が約4.5%とされています。報告例では、いずれも3か月以内に回復しています。同じ報告の中で、口が渇いたままになったという例は挙げられていません。

数字を伏せずにお伝えするのは、不安をあおるためではありません。起こりうることをあらかじめ知っておいていただくほうが、術後の小さな変化に落ち着いて対処できるからです。

この手術が向かない方・待ったほうがよい方

体調が安定していない時期や、顎下のふくらみの原因が別の疾患による可能性がある場合は、手術を急がずに検査を優先します。皮膚のたるみが強い方は、筋肉を寄せるだけでは輪郭が整いきらないことがあるため、ミニネックリフトなどの併用を含めて計画を立て直します。

すべての手術には一定のリスクが伴います。そのうえで受けるかどうかを決めていただけるよう、私たちは利点と限界の両方をお伝えします。

よくある質問(FAQ)

二重あごの筋肉縛りと顎下腺の縮小を同時に受けると、回復期間は長くなりますか?

一度の麻酔でまとめて行うため、二回に分けて受けるより回復に付き合う回数を減らせます。顎下腺の部分切除が加わると腫れがやや長引くことはありますが、日常生活に戻る時期そのものは大きく変わらない傾向です。回復には個人差がありますので、ご自身の目安はカウンセリングで確認しましょう。

自分の唾液腺が大きいかどうかは、どうやって分かりますか?

顎の下を押したときに硬いかたまりが触れる、脂肪吸引を受けてもふくらみが残る、という二点があれば疑えます。ただしこれは目安にすぎません。確定的な判断は、超音波またはCT検査で顎下腺の大きさを確認したうえで行います。

二重あご唾液腺同時手術の効果はどのくらい持続しますか?

広頸筋の縫縮には体内で溶けない非吸収糸を使うため、寄せた構造の固定が保たれます。大きな体重変化や加齢による新たな変化がなければ長く続くことが多いのですが、経過には個人差があり、結果をお約束することはできません。

なぜ顎下腺の手術は神経が心配だと言われるのですか?

舌の動きや感覚に関わる神経が、唾液腺の深い内側を通っているためです。被膜内(唾液腺を包む膜の内側)でのみ処置するという原則を守ることで、そのリスクを抑えます。ただしどの手術でも、炎症・出血・違和感などが起こる可能性は残ります。

50代ですが、筋肉縛りだけでも大丈夫でしょうか?

皮膚のたるみが進んでいる場合、筋肉を寄せるだけでは変化が限定的なことがあります。フェイスリフトやミニネックリフトを併用したほうがよいかどうかは、皮膚の弾力と骨格を実際に拝見して判断します。まずは対面のカウンセリングでご相談ください。

カウンセリングのご案内|マイン美容外科

同じ「二重あご」でも、原因は脂肪・筋肉・唾液腺のどれが主役かによって変わります。原因が違えば答えも変わりますから、他の方に効いた方法がご自身にそのまま当てはまるとは限りません。だからこそ、まずは原因を確かめるところから始めましょう。

マイン美容外科では、李聖郁(イ・ソンウク)院長が対面のカウンセリングで顎下の状態を確認し、二重あご唾液腺同時手術が適しているのか、筋肉の処置だけで十分なのかを一緒に整理します。渡韓前のオンライン事前相談も承っており、日本語スタッフが対応しますので、言葉の面もご安心ください。

ご予約・ご相談はお電話(+82-2-516-1175)でも承ります。気になる点を書き出してからお越しいただくと、限られた時間をより有効にお使いいただけます。

※ 本コンテンツは情報提供のみを目的としており、医療上の診断や治療に代わるものではありません。施術結果には個人差があり、副作用が生じる可能性があります。詳しくは専門医にご相談ください。

執筆・監修:李聖郁 院長(形成外科専門医/マイン美容外科)
最終更新日:2026年7月31日

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