内視鏡額挙上とは、ヘアラインの内側の頭皮に約1cmの切開を3〜5か所おき、内視鏡で神経や血管を確認しながら額全体を剥離して引き上げ、骨に固定する手術です。読み方は「ないしきょうがくきょじょう」です。「額」は普段「ひたい」と読む字なので「ひたいきょじょう」と読まれることもありますが、医学用語では音読みして「がくきょじょう」となります。
検索では「額拳上」と書かれていることもあり、そこから「ひたいけんじょう」「がくけんじょう」と読まれる場合もありますが、正しい表記は「額挙上」、読みは「がくきょじょう」です。日本では「額リフト」「前額リフト」と呼ばれることもあり、額と眉のたるみ、額と眉間のシワをまとめて扱う手術を指します。
この記事では、マイン美容外科の医師が、内視鏡額挙上の考え方から、向いている方の条件、手術の流れ、ダウンタイムの時系列、起こりうる副作用までを順にご説明します。数字で言い切れない部分については、なぜ言い切れないのかまで正直にお伝えします。
目次
内視鏡額挙上とは?「皮膚を切って引っ張る手術」ではありません
「額のたるみを取る手術」と聞くと、額の皮膚を切り取って縫い縮める場面を思い浮かべる方が多いようです。内視鏡額挙上は、それとは考え方がまったく違う手術です。額と眉を骨から一度はがして(剥離して)、高い位置で留め直すことで、皮膚を切除せずに位置を変えます。
内視鏡を使う額の若返り手術は1990年代以降、傷が小さく回復が早い方法として広まりました。額の中をモニターに映しながら進められるようになったことで、大きく切り開かなくても深い層まで扱えるようになったためです。

額と眉が下がると、目もとの印象はどう変わるのか
眉は年齢とともに少しずつ下がり、特に眉尻の側が先に落ちてきます。眉が下がると目尻の上に皮膚が寄り、まぶたが重く見えたり、目が小さく見えたりします。この目尻のかぶさりは、まぶただけを見ていると原因を見誤りやすい変化です。
さらに、下がった眉を無意識に持ち上げようとして、額の筋肉(前頭筋=額を上に引き上げる筋肉)が一日中働き続けます。その結果として額の横ジワが深くなり、眉間には縦のシワが刻まれていきます。額のシワと眉の位置は別々の問題ではなく、地続きの変化です。
外側は「はがして留める」、内側は「下げる筋肉を減らす」
額の若返り手術では、眉の外側と内側とで引き上げの仕組みが異なります。外側では、こめかみのあたりで組織を骨につなぎ止めている固い付着部を、ていねいに外していきます。ここには、こめかみの骨と組織が強く結びついた線(側頭融合線)と、目のふちで組織を支える靭帯(眼窩支持靭帯)があります。
そのうえで、皮膚を切り取るのではなく高い位置で機械的に留めることで、眉の位置を保ちます。頭皮を切除して引き締める従来の考え方とは、ここが根本的に違います。
内側では、眉を下に引く方向に働く筋肉(皺眉筋=眉を寄せる筋肉、鼻根筋=眉間を下に引く筋肉)を処理します。眉を上げる前頭筋と、下げる筋肉が綱引きをしている状態から、下に引く力だけを減らすイメージです。「強く引っ張る」のではなく「下げる力を弱める」ことで、自然な位置に戻していきます。
マインの内視鏡額挙上で行っていること
マイン美容外科では、HD内視鏡で神経・筋肉・血管を確認しながら手術を進めます。見えない範囲を手探りで進める方法に比べて組織の損傷が少なく、術後の額と眉の動き、表情の自然さが保たれやすくなります。
剥離の範囲は、こめかみ(側頭部)から眉毛の上、眉間までの額全体です。広く剥離するほど引き上げの自由度は高くなりますが、そのぶん神経や血管の位置を目で確認しながら進める必要があります。ここが内視鏡を使う一番の意味です。
ただし、額挙上が扱えるのは顔の上3分の1です。頬のたるみやフェイスラインの変化は、この手術では変わりません。
なお、この記事では内視鏡額挙上の定義・適応・手術の流れ・回復の目安をご説明しています。実際に手術を受けた方の術前・術後の変化はマインの額挙上(手術情報)のページでご覧いただけます。
どんな人に向いている?内視鏡での額挙上が向く条件と、別の術式を考えたほうがよい場合
マインが挙げる7つの適応
マイン美容外科では、次の7つを額挙上の主な適応として整理しています。
- 加齢による額・眉間のシワが気になる
- 眉間の印象が強く、感情が実際より強く伝わってしまう
- 目が腫れぼったく、厚く見える
- 目と眉の距離が近い
- たるんだ目もと・まぶたが視野にかかる
- 左右非対称の眉が気になる
- 怖い、険しいと言われる印象を和らげたい
複数に当てはまる方ほど、手術で得られる変化を実感しやすい傾向があります。ただし当てはまる数だけで決まるわけではなく、実際には次にご説明する解剖学的な条件が判断を左右します。

ヘアラインの高さと額の皮膚のゆとりで適応が変わる
内視鏡の方式が最も力を発揮するのは、額の骨が比較的平らで、ヘアラインが後退しておらず(低め)、額に余った皮膚が少ない方です。この3つがそろっていると、小さな切開から広い範囲を安全に剥離でき、生え際の位置もほとんど変わりません。
反対に、もともとヘアラインが高い方や、額の皮膚のたるみが大きい方では、内視鏡だけで進めると生え際がさらに後退して見えることがあります。こうしたケースでは、前額切開(額の一番上のシワに沿って切る方法)や生え際切開など、別のアプローチが検討対象になります。
つまり適応は「何歳から」という年齢の線引きではなく、ヘアラインの形・眉の位置・額の皮膚の状態といった、もともとの骨格と皮膚の条件で決まります。誰にでも合う手術ではない、という前提でお読みください。
鏡の前では気づきにくい「眉が下がっているサイン」
診断でいちばん多い落とし穴は、鏡を見るときに人が無意識に眉を上げてしまうことです。鏡の前だけ眉の位置が高くなるため、ご自身では「眉は下がっていない」と判断しやすくなります。眉尻を抜いて高めに描く化粧の習慣も、同じように判断を狂わせます。
手がかりになるのは、額の横ジワの深さです。額のシワが深いということは、前頭筋が眉を持ち上げ続けている、つまり下がってきたぶんを額の筋肉が代償しているサインになりえます。力を抜いた状態の正面写真を撮って見比べていただくと、ご自身でも気づきやすくなります。
眉の位置の一般的な目安もお伝えしておきます。眉頭は、目の上の骨のふち(眼窩上縁)と同じか、やや下。位置としては目頭の真上が目安です。眉山は眉全体の外側3分の2あたりにゆるやかに来て、眉尻が眉頭よりやや高い形が、整って見えるとされています。なお男性の眉は女性より低く平坦なのが自然なので、同じ基準は当てはめません。
内視鏡額挙上と混同されやすい手術との違い
額まわりの手術は名前が似ていて、まったく別の手術が同じもののように語られがちです。特に混同されやすい2つを、目的とアプローチの位置で整理します。

| 比較項目 | 内視鏡額挙上 | 額縮小 | 眉下切開 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 額と眉を引き上げ、額・眉間のシワを和らげる | 額の縦の幅を狭くする | まぶたにかぶさる皮膚の重さを取る |
| アプローチ位置 | ヘアラインの内側の頭皮(髪の中) | ヘアラインそのもの | 眉のすぐ下 |
| 力の向き | 頭皮側から上へ引き上げる | 生え際を下へ移動させる | 下から皮膚を取り除く |
| 傷の場所 | 髪に隠れる | 生え際に沿う | 眉の下の縁 |
| 麻酔 | 睡眠麻酔(静脈鎮静) | 術式により異なる | 局所麻酔が中心 |
| 向くケース | 眉が下がり、額のシワと目もとの重さが同時に気になる | 額が広く見えることが主な悩み | 眉の位置は保たれ、上まぶたの厚みが主体 |
ヘアラインを下げて額を狭くする手術との違い
ひとつめは、生え際そのものを下げて額の縦の幅を狭くする手術です。目的は「額を狭く見せる」ことで、麻酔の方法も回復の期間も内視鏡額挙上とは別物になります。
内視鏡額挙上は額の縦幅を狭くする手術ではありません。額の広さが主な悩みであれば、額縮小(ヘアラインを下げる手術)のページをご覧ください。
まぶた側から皮膚を取る手術との違い
ふたつめは、眉のすぐ下の皮膚を切除して、まぶたにかぶさる重さを取る手術です。内視鏡額挙上が「頭皮側から上に引き上げる」のに対して、こちらは「下から皮膚を取る」方向の手術になります。
上まぶたの厚みが主な原因なのか、眉そのものが下がっているのかで、選ぶべき手術は変わります。術後の過ごし方は眉下切開術後の注意事項にまとめています。
内視鏡額挙上はどう進む?麻酔から固定までの手術の流れ
麻酔と手術時間
手術時間は約1時間、麻酔は眠っている間に終わる静脈鎮静(睡眠麻酔)で、入院はせず当日中にご帰宅いただけます。目が覚めたときには手術が終わっている状態なので、痛みを感じながら受けていただくことはありません。

手術の4ステップ
- 切開— ヘアラインの内側の頭皮に、約1cmの切開を3〜5か所おきます。
- 剥離— HD内視鏡で神経と血管を確認しながら、額全体を正確に剥離します。
- 挙上・固定— 額全体を引き上げ、糸またはエンドタインで骨に固定します。
- 縫合— 切開した部位を縫合して終了します。
剥離は骨膜下(こつまくか=骨をおおう薄い膜の下)の層で行います。この層を通ると額の皮膚へ向かう血流が保たれるため、皮膚側のトラブルが起こりにくくなります。この層で剥離するのが標準とされているのも、そのためです。
同じ手術の中で、眉間の筋肉(皺眉筋・鼻根筋)の処理も行います。眉の位置だけでなく角度まで整えられるため、眉間の縦ジワや額の横ジワが目立ちにくくなります。
固定に使う材料は体内に残らない
固定に使う医療材料は術後1〜2か月で皮膚組織に付着し、12か月以降は体内で吸収されて完全に無くなります。一生残るものではなく、組織が新しい位置で落ち着くまでの仮留めの役割を果たします。
固定には、糸で留める方法と、エンドタインという生体に吸収される固定材を使う方法があります。剥離した範囲や骨の形に合わせて選択し、どちらも吸収されるため、取り出すための再手術は必要ありません。
ダウンタイムの時系列 — いつ、何が戻るのか
額の手術で最も気になるのは「何日目に何ができるか」だと思います。マインの術後案内をもとに、時期ごとの目安を整理しました。

| 時期 | 起きること | できるようになること |
|---|---|---|
| 術後2〜3日 | 腫れ・内出血がピーク/額の圧迫は3〜4日が目安 | 洗顔は翌日から |
| 3〜4日 | 腫れが下り坂に入る | 日常生活の再開 |
| 7〜10日 | 抜糸 | 抜糸後からシャンプー |
| 1〜2週 | 内出血の色が薄れていく/2週間は仰向けで就寝 | 軽いウォーキング |
| 1か月 | むくみが目立たなくなる | 激しい運動・サウナ |
| 2〜3か月 | 残っていた腫れが落ち着く | 仕上がりの評価 |
術後0〜3日:腫れと内出血のピーク
腫れと内出血は術後2〜3日がピークで、そこから2〜4週間かけて徐々に引いていきます。額の圧迫は3〜4日間が目安で、洗顔は翌日から可能です。
広い範囲を剥離するため、はがした空間に一時的に体液がたまります。腫れの多くはこの水分によるもので、時間とともに吸収されていきます。
1〜2週:抜糸・洗髪・日常生活の再開
抜糸は術後7〜10日目で、シャンプーは抜糸後からになります。日常生活は3〜4日後から、軽いウォーキングは1〜2週間後を目安にしてください。
術後2週間は仰向けでの就寝をおすすめしています。うつ伏せや横向きは、固定した部分に余計な力がかかりやすいためです。
1〜3か月:残る腫れと運動の再開
激しい運動とサウナは1か月を目安に控えていただきます。血流が急に増えると、いったん引いた腫れが戻ることがあるためです。
軽く残った腫れは2〜3か月かけて落ち着いていきます。この時期は額の感覚が鈍いことがあるため、温湿布や電気毛布でやけどをしないようご注意ください。感覚が鈍くなるのは、切開した部分の近くを通る細い感覚神経が一時的に引っぱられるためで、多くは時間とともに戻ります。
食事・洗髪・服薬など、日々の具体的な過ごし方は額挙上手術後の注意事項にまとめていますので、あわせてご覧ください。
起こりうる副作用・リスクと、減らすための工夫
多くの方に起こる一時的な変化
腫れ、内出血、むくみ、額の感覚の鈍さ、突っ張るような違和感は、多くの方に起こります。いずれも経過とともに改善していく一時的な変化です。

まれに起こること
- 血腫(内出血のかたまり)— 小さければ自然に吸収されますが、大きい場合は処置が必要になります
- 感染 — 傷のケアと抗菌薬で対応します
- 切開部周辺の脱毛 — 切開の設計が工夫されるようになり、以前より起こりにくくなっています
- 筋肉を処理した部位の輪郭のわずかな凹凸
- 眉の高さの左右差
- こめかみ側で表情筋を動かす細い神経が一時的に弱まること — 多くは時間とともに回復します
感染が起こることはまれですが、可能性がゼロになるわけではありません。術後の傷のケアと通院はきちんと続けていただきます。
「驚いた顔」にならないための設計
額挙上でよく心配されるのが、眉が上がりすぎて驚いた表情に見えることです。これを避けるため、額の中央では骨膜のブリッジ(骨をおおう膜をあえて残す部分)を温存し、眉の内側がよく動く方では中央寄りの固定を避ける、という配慮がされます。言い換えれば「眉の内側を上げすぎない設計」です。
戻り(再発)については、固定方法が改良されたことで以前より少なくなっていますが、ゼロではありません。すべての手術には一定のリスクが伴います。
手術以外の選択肢と、同時に検討される手術
軽度なら注射で眉を上げるという選択
たるみが軽度で、主な原因が眉間や額の筋肉の動きの強さにある場合は、ボツリヌストキシン注射で眉の外側を数ミリ持ち上げる方法が選択肢になります。手術に比べて体への負担は小さい一方、効果の持続は限られます。打ち方によっては、まぶたが重く感じられるなどの副反応が起こることもあります。
上まぶたの手術と同時に行うケース
眉が下がったままの状態で、先にまぶたの皮膚だけを切除すると、眉がさらに下がってしまうことがあります。だからこそ「眉が下がっているのか、まぶたが厚いのか」の見きわめが先に必要です。
診察の結果、額挙上と上眼瞼手術を同時に行ったほうが目もとの印象が整いやすい、と判断されることもあります。どちらを、どの順番で行うかの診断が、仕上がりを大きく左右します。
効果は永久ではありません
手術で眉と額の位置は変えられますが、加齢による組織のゆるみそのものが止まるわけではありません。効果は年月とともに少しずつ弱まっていきます。この点は正直にお伝えしておきたい部分です。
手術を受ける施設を選ぶ際は、日本形成外科学会などが公開している専門医制度も参考になります。担当する医師の専門分野と経験を確認しておくと、カウンセリングでの質問も具体的になります。
内視鏡額挙上についてよくあるご質問
内視鏡額挙上の読み方は何ですか?
「ないしきょうがくきょじょう」と読みます。「額」は普段「ひたい」と読む字なので「ひたいきょじょう」と読まれることもありますが、医学用語では音読みして「がくきょじょう」となります。誤表記の「額拳上」から「ひたいけんじょう」「がくけんじょう」と検索される方もいらっしゃいますが、正しくは「額挙上(がくきょじょう)」です。同じ手術が別の呼び名で紹介されていることもありますが、内容は同じものを指しています。
内視鏡額挙上のダウンタイムはいつまで続きますか?
腫れと内出血は術後2〜3日がピークで、2〜4週間かけて引いていきます。抜糸は7〜10日目、日常生活は3〜4日後から、激しい運動は1か月を目安に控えていただきます。軽く残る腫れは2〜3か月かけて落ち着きます。
傷あとはどうなりますか?髪の中に隠れますか?
切開はヘアラインの内側の頭皮に約1cm×3〜5か所で、髪に隠れる位置に設計します。切開部周辺の脱毛がまれに起こることはありますが、切開の設計によって起こりにくくなっています。傷の治り方には個人差がございます。
なぜ額挙上の効果は少しずつ弱まるのですか?
手術で位置は変えられますが、加齢による組織のゆるみ自体が止まるわけではないためです。固定に使う材料も12か月以降には体内で吸収されて無くなり、その後は組織どうしの付着が位置を保ちます。一生続くものではない、という前提でご検討ください。
内視鏡額挙上は安全ですか?どんなリスクがありますか?
腫れ・内出血・額の感覚の鈍さといった一時的な変化は、多くの方に起こります。まれに血腫・感染・切開部の脱毛・左右差などが起こることがあります。すべての手術には一定のリスクが伴いますので、事前に専門医と十分にご相談ください。
まとめ|相談の前に整理しておきたいこと
ここまでの要点を整理します。内視鏡額挙上は、皮膚を切り取るのではなく、額と眉を剥離して高い位置で留め直す手術です。適応は年齢ではなく、ヘアラインの形・眉の位置・額の皮膚の状態といった、もともとの骨格と皮膚の条件で決まり、効果は一生続くものではありません。
ダウンタイムの目安は、腫れのピークが術後2〜3日、抜糸が7〜10日目、日常生活が3〜4日後から、激しい運動が1か月後からです。軽く残る腫れは2〜3か月かけて落ち着いていきます。
カウンセリングの前に、次の3点を整理しておいていただくと話が早く進みます。
- いつ頃から気になり始めたか
- 眉を上げずに、力を抜いて鏡を見たときの眉の位置
- まぶたの重さと眉の下がりの、どちらがより気になるか
マイン美容外科では、日本語対応の無料カウンセリングを行っています。額と眉のどこに原因があるのかを診察でご一緒に確認したうえで、手術がふさわしいのか、別の方法がよいのかをご案内します。
監修:李聖郁(イ・ソンウク)院長/形成外科専門医(ソウル峨山病院 形成外科 外来教授・大韓形成外科学会 正会員)|マイン美容外科・皮膚科 最終更新日:2026年8月15日
※ 本コンテンツは情報提供のみを目的としており、医療上の診断や治療に代わるものではありません。施術結果には個人差があり、副作用が生じる可能性があります。詳しくは専門医にご相談ください。
