豊胸 合併症 確率とは、豊胸手術を受けた方のうち、一定の期間内に感染や被膜拘縮(カプセル拘縮)、インプラントの破裂などが報告された割合のことです。
「実際どのくらいの確率で、いつ頃起きるのですか?」これは、診察室で特によくいただくご質問です。ただ、豊胸の合併症の確率は、1つの数字ではお答えできません。合併症ごとに確率が違い、起きやすい時期の傾向も違うからです。たとえば感染は高くても約2%、位置異常は10年間で4.7〜6.8%、破裂は10年間で製品や資料によって5.7〜17.7%と報告されています(いずれも別々の資料の値です)。時期を見ると、感染は術後1か月以内に集中し、破裂は数年たってから増えていきます。
この記事では、文献の数字と時期を1つの表にまとめ、その読み方をご説明します。症状別の対処法は別の記事にまとめており、記事の後半でご案内します。監修はマイン美容外科・皮膚科のイ・ソンウク院長(形成外科専門医)です。
目次
豊胸 合併症 確率の早見表:何が・どのくらい・いつ起きるか
合併症ごとの確率と時期
合併症ごとの確率と起きやすい時期を整理すると、次のようになります。
| 合併症 | 報告されている確率 | 起きやすい時期 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 血腫・早期の漿液腫 | 数値は示しません | 術後早い時期 | 単独の豊胸手術について、確かな数値を確認できていないため |
| 感染 | 高くても約2%(急性の感染で0〜4%) | 中央値10〜12日、7割超が1か月目 | 時期の割合は乳房手術全体の文献の値 |
| 被膜拘縮 | 資料により2.8〜20.4% | 多くは1年以内。それ以降もある | 製品別の10年間の値は後の節に記載 |
| 破裂(シリコン) | 10年で5.7〜17.7% | 最初の3年はほぼゼロで、以後増える | 製品・資料で差がある。時期の傾向はNatrelle roundの結果 |
| 位置異常 | 10年で4.7〜6.8% | 早期にも後期にも | Natrelle round・410の初回豊胸 |
| 遅発性漿液腫 | 10年で0.2〜0.4% | 術後1年以降、平均4.7年の報告 | 確率は2製品の10年データ、時期は1人の医師の診療例で、別の資料 |
この表は比較試験の結果ではなく、別々の資料の数字を並べたものです。そのため、どの製品が優れているかを決める根拠にはなりません。それぞれの出典は、後の節の文献番号と記事末尾の参考文献をご確認ください。
なお、感覚の変化は表に入れていません。術後に一時的に出ることがありますが、多くは数か月かけて戻っていきます。
数字を読む前に確認する3つの条件
同じ合併症でも、条件が違えば数字は変わります。文献の値を見るときは、次の3点を確かめましょう。
- どの製品か:同じシリコンバッグでも、製品によって値が異なります。
- 何年追跡したか:破裂のように年数とともに増えるものは、5年と10年で値が変わります。
- 人単位かインプラント単位か:1人に2個入れるため、分母の取り方で数字が動きます。
再手術率12%と36.1%の読み方:問題が起きた人の割合ではない
再手術率とは、問題が起きた人の割合ではなく、再び手術を受けた人の割合のことです。ここを取り違えると、数字が実際より怖く見えたり、逆に軽く見えたりします。
再手術率に入るもの、入らないもの
- 入るもの:被膜拘縮や破裂など、合併症のために受けた再手術
- 入るもの:サイズや形を変えたいというご希望で受けた再手術
- 入らないもの:気になる変化があっても、手術をせず様子を見ている方
つまり再手術率は、合併症の発生率とは別の数字です。
5年12%と10年36.1%は別々の資料
形成外科の教科書(文献1)に引用されたGabrielらの追跡報告では、初めて豊胸手術を受けた1,800人の5年間の再手術率は12%でした。
同じ教科書(文献1)に掲載された製造元の10年間のデータでは、表面がなめらかな丸型シリコンバッグの、理由を問わない再手術率は36.1%でした。
この2つは別々の資料です。そのため、「5年で12%だったものが10年で36.1%に増える」という1本の線としては読めません。
どちらも怖がらせるための数字ではなく、インプラントは一度入れたら終わりというものではない、ということを示す数字として読んでいただければと思います。
再手術の理由で多いのは被膜拘縮と位置異常
被膜拘縮は、再手術の最も多い理由の一つに挙げられています。位置異常を被膜拘縮に次ぐ理由とする文献もあり、そこでは初回豊胸の再手術のうち10.2〜12.2%が位置異常によるものでした(文献2)。
イ・ソンウク院長のKey Point:再手術率は問題の割合ではなく、再手術を受けた方の割合です。資料が違う数字を1本の線でつながないことが大切です。
術後数日〜数週間に起きる合併症
術後早い時期の合併症は、確率を知ることよりも、早く気づいて受診することが大切です。
血腫・漿液腫:数字より早さが大切
血腫は手術をしたところに血がたまること、漿液腫は透明な液がたまることです。どちらも術後の早い時期に見られます。単独の豊胸手術について確かな数値を確認できていないため、この記事では確率を示しません。
感染の確率は約2%までで、多くは1か月以内
初回の豊胸手術の感染率は、高くても2%程度とされています(文献1)。別の教科書(文献2)では、急性の感染を0〜4%、発症までの中央値(並べたときの真ん中の値)を10〜12日としています。
時期を見ると、感染は最初の1か月に集中しています。文献2が紹介する54,661件の乳房手術の内訳は次のとおりです。ただし、この文献の対象には、豊胸以外の乳房手術も含まれています。
| 術後の時期 | 感染に占める割合 |
|---|---|
| 1か月目 | 7割超 |
| 2か月目 | 10% |
| 3〜6か月目 | 10% |
| 7か月目以降 | 5% |
片側だけが急に大きくなる、赤みが出る、熱が出るといった変化は、早めに受診していただきたいサインです。
数か月〜数年後の豊胸 合併症 確率:被膜拘縮・破裂・位置異常
術後しばらくたってからの合併症は、感染とは起きやすい時期の傾向が異なります。被膜拘縮は1年以内が中心で、破裂は年数とともに増え、位置異常は早期にも後期にも見られます。この時期の豊胸の合併症の確率は、製品と追跡年数をセットで読みましょう。
被膜拘縮の確率:多くは1年以内に現れる
被膜拘縮とは、インプラントの周りにできた膜が厚くなって縮み、胸が硬くなったり形が変わったりする状態です。カプセル拘縮の確率は資料によって幅があり、文献2では2.8〜20.4%と報告されています。一般的な説明では、5〜10%前後が目安とされることもあります。
教科書(文献3)に掲載された製品別の10年間の値は、MemoryShapeが3.6%、Natrelle 410が9.2%でした。Sientraはテクスチャード(表面がざらざらしたタイプ)で9.0%、スムース(表面がなめらかなタイプ)で17.5%です。再手術率36.1%の出典と同じNatrelleの10年データ(文献1)では、Baker分類III・IV(硬さや変形がはっきりした段階)が19.1%でした。
時期については、文献2によると、被膜拘縮の多くは初回豊胸から1年以内に現れます。それ以降に起きることもあります。詳しくは被膜拘縮の段階と原因をご覧ください。
破裂の確率:年数とともに増え、製品で差がある
Spear(2014)の10年報告では、インプラントの破裂は最初の3年間ほぼゼロで、その後は約2年ごとに3〜4%ずつ増えました(文献2にも掲載)。これはNatrelle roundの結果です。
10年の破裂率は、製品と資料によって5.7〜17.7%と差があります。17.7%は1製品の値で、豊胸全体の破裂率ではありません。
| 製品 | 10年破裂率 | 備考 |
|---|---|---|
| Natrelle 410 | 17.7% | 初回豊胸・人単位 |
| Natrelle 410(別の教科書) | 5.7% | Bengtsonの報告を文献3が引用。上の値と差がある理由は未確認 |
| Natrelle round | 9.3% | 初回豊胸・人単位 |
| Sientra | 8.5% | 初回豊胸・人単位 |
| MemoryShape | 6.6% | 初回豊胸・人単位 |
同じNatrelle 410でも、教科書によって17.7%と5.7%に分かれています。数え方の違いの可能性はありますが、確認はできていません。実際、Natrelle 410全体の10年破裂率は、人単位で16.4%、インプラント単位で9.7%と、単位によって値が変わります(文献2)。
これも比較試験ではなく、別々の製品の結果です。製品の優劣を判断する材料にはなりません。破裂の症状と検査の詳しい流れは別の記事にまとめています。
位置異常:見落とされがちな合併症
位置異常とは、インプラントが本来の位置からずれて、下に落ちたり内側・外側へ寄ったりする状態です。文献2では、初回豊胸の位置異常は10年以内に4.7〜6.8%と報告されています。
合併症として見落とされがちなのは、患者様ご自身が「形が気に入らない」と感じるだけで済ませてしまうことが多いからです。もともとの体の左右差とは別の問題なので、気になるときは診察で確かめましょう。
術後1年以降の片側の急な腫れ:まれでも検査が必要な理由
遅発性漿液腫の頻度と時期
手術から1年以上たって片方の胸だけが急に腫れた場合、確認が必要なのが遅発性漿液腫(手術からしばらくたって液体がたまること)です。まれな症状で、テクスチャードのインプラントに多いとされています。
教科書(文献3)に掲載された2製品の10年間のデータでは、遅発性の漿液腫は0.2〜0.4%でした。別の教科書(文献1)が紹介するSpearの診療例では、発症まで平均4.7年で、96%がテクスチャードでした。
BIA-ALCLとの関係
遅発性漿液腫の大半は良性です。一方で、BIA-ALCL(インプラントに関連する特殊なリンパ腫)の初期症状として最も多いものでもあります。BIA-ALCLは非常にまれな病気で、文献による差が大きいため、この記事では1つの数字を示しません。
確率が低くても検査の対象になるのは、このためです。検査は次の流れで進みます。
- 超音波で液体がたまっているかを確認します。
- 液体があれば、針で抜き取ります(穿刺)。
- 抜き取った液体の細胞を検査します。
ここで挙げた数字は、特定の表面のタイプを勧めたり避けたりするものではありません。製品ごとの資料はインプラントの種類と安全性の比較でご確認いただけます。
症状がなくても受ける画像検査:5〜6年目、その後は2〜3年ごと
確率と時期が分かったら、次に決めておきたいのは検査の日程です。
症状がない場合の検査の間隔
米国FDAの2020年の改定では、症状のないシリコンインプラントの場合、術後5〜6年目に超音波かMRIで検査を受け、その後は2〜3年ごとに検査を続けることが推奨されています(2020年のFDA改定を扱った論文)。
以前広く知られていた「3年後にMRI、以後2年ごと」は、現在の推奨ではありません。ネット上の記事には旧基準が残っていることもあるので、年数の違う説明を見かけたら、この間隔を目安にしてください。
| 状況 | 検査 | 時期 |
|---|---|---|
| シリコンで症状がない | 超音波またはMRI | 術後5〜6年目、以後2〜3年ごと |
| 気になる症状がある | MRI | 定期検査を待たずに受診 |
| 超音波の結果がはっきりしない | MRI | 超音波の結果が出たあと |
| 術後1年以降の片側の急な腫れ | 超音波、液体があれば細胞検査 | 定期検査を待たずに受診 |
症状がある場合はMRI
気になる症状がある場合や、超音波の結果がはっきりしない場合は、MRIで確認します。定期検査の時期が来ていなくても、受診をおすすめします。
破裂は症状なく進むことが多い
シリコンの破裂は、症状がないまま進むことが多いとされています。教科書(文献3)によると、豊胸手術に慣れた形成外科医の診察で破裂を見つけられる割合(感度)は30%で、MRIの89%を大きく下回ると報告されています。触診だけでは見つけにくいため、画像検査が欠かせません。
ただし、これはシリコンの破裂に限った話です。被膜拘縮や位置異常は触ったときや見た目で分かることが多く、遅発性の腫れは腫れそのものが症状です。
イ・ソンウク院長のKey Point:シリコンの破裂は症状がないまま進むことが多いので、体のサインを待たず検査の日を先に決めておきましょう。
ご自身の確率を知るために:カウンセリングで確認する4つの質問
平均の数字をそのまま当てはめない
ここまでの数字は集団全体の値で、そのままご自身の確率になるわけではありません。実際の確率は、次のような条件で変わります。
- 使用するインプラントの製品
- インプラントを入れる位置
- 胸の組織の厚み
- 喫煙の有無や持病
また教科書(文献1)には、豊胸と乳房つり上げを同時に行う手術は、豊胸だけの手術より合併症が多いという記述もあります。
医師に聞いておきたい4つのこと
カウンセリングでは、次の4つを聞いておくと、数字をご自身の話として考えやすくなります。
- 私の組織の厚みには、どのインプラントと位置が合っていますか?
- 私が特に注意すべきリスクは何ですか?
- 検査はいつから、どの方法で受ければいいですか?
- 回復中、どんな症状が出たら連絡すべきですか?
渡韓して手術を受ける方は、帰国後の検査をどこで受けるかや、術後の連絡手段も確認しておくと安心です。すでに気になる症状がある方は、豊胸手術の副作用ガイド:症状別の対処法をご覧ください。
豊胸 合併症 確率についてよくある質問
豊胸の合併症はどのくらいの確率で起きますか?
1つの数字ではお答えできません。感染は高くても約2%、位置異常は10年間で4.7〜6.8%、破裂は10年間で製品や資料によって5.7〜17.7%です。これらは別々の資料の値です。
再手術率36.1%は、3人に1人が失敗するという意味ですか?
いいえ、違います。理由を問わず再手術を受けた方の割合で、ご希望によるサイズ変更も含まれます。また、1つの製品群の10年データです。
シリコンバッグの破裂は何年後に増えますか?
ある10年報告では、最初の3年はほぼゼロで、以後約2年ごとに3〜4%増えました。製品によって差があり、「10年で必ず破裂する」という意味ではありません。
被膜拘縮はいつ起きることが多いですか?
多くは初回豊胸から1年以内です。それ以降に起きることもあります。遅い時期に現れた場合は、破裂がないかも確認します。
症状がなくても検査はいつ受ければいいですか?
シリコンの場合は、術後5〜6年目に超音波かMRIを受け、以後は2〜3年ごとが目安です。症状があるときはMRIで確認します。
術後何年もたって片方だけ腫れたらどうすればいいですか?
まれな症状で多くは良性ですが、次の定期検査を待たずに受診しましょう。超音波で確認し、液体があれば検査します。
数字をご自身に当てはめて確認したい方へ
豊胸の合併症の確率がご自身にどう当てはまるかは、製品や入れる位置、組織の状態を確かめて初めて分かります。すべての手術には一定のリスクが伴います。だからこそ、数字の意味を一緒に確認したうえで判断していただきたいと考えています。手術の内容は豊胸手術のご案内にまとめています。
マイン美容外科・皮膚科のLINE公式アカウントでは、お写真をお送りいただく写真カウンセリングを日本語スタッフが承っています。お電話(+82-2-516-1175)でもお問い合わせいただけます。手術を決めていない段階でも、どうぞお気軽にご連絡ください。
参考文献
- 『Plastic Surgery: Breast』
- 『Managing Common and Uncommon Complications of Aesthetic Breast Surgery』(Springer、2021年)
- 『Spear’s Surgery of the Breast: Principles and Art』(Lippincott Williams & Wilkins)
【注意事項】本記事はマイン美容外科・皮膚科が医療広告ガイドラインに基づき作成した情報提供記事です。
すべての手術には、炎症・出血・感染などの副作用が生じる可能性があります。
効果・結果には個人差がございます。手術前に必ず専門医との十分なカウンセリングをお受けください。
マイン美容外科 | jpmineps.com | 日本語スタッフ対応
※ 本コンテンツは情報提供のみを目的としており、医療上の診断や治療に代わるものではありません。施術結果には個人差があり、副作用が生じる可能性があります。詳しくは専門医にご相談ください。







